公益財団法人 生命保険文化センター

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仕事(就労)

年収の壁について知りたい

「年収の壁」は全部で5つ

年収の壁とは、税金や社会保険料の負担が増える年収のボーダーラインで主な年収の壁は5つあります。
アルバイトやパートで働く短時間労働者は、「年収の壁」を超えて働くと、社会保険(健康保険、厚生年金)が適用されて保険料の負担が生じたり、扶養からはずれたりすることから、「年収の壁」を超えないために就業時間を意識して「就業調整」を行う人がいます。

  • 2025(令和7)年度税制改正を反映
年収の壁 概要 ポイント

106万円
【社会保険の壁】     

従業員51人以上の企業に勤務する人で、所定内賃金※1が月8.8万円以上となると、社会保険(厚生年金・健康保険)が適用され保険料負担が生じる。

厚生年金の給付や健康保険上の傷病手当金などの給付が上乗せされる。
・手取り収入が減少する。

130万円
【社会保険の壁】

 

第3号被保険者(会社員など健康保険、厚生年金加入者の配偶者)の年収の見込額が130万円以上となった場合※2配偶者の扶養からはずれ、国民年金(第1号被保険者)・国民健康保険に加入するため保険料負担が生じる

・国民年金の給付は変わらない。
・手取り収入が減少する。

社会保険制度について、短時間労働者が「年収の壁」を意識せず働ける環境づくりを支援するための施策がある。

 参考:年収の壁・支援強化パッケージ(2023(令和5)年10月1日~)

123万円
【税金の壁】

年収123万円を超えると、所得税で扶養控除の対象外となる(親などの扶養者が扶養控除などを受けられない)。

 下記「19歳~23歳未満の子を扶養する親などが受けられる控除」参照。

 

150万円
【税金の壁】

年収150万円を超えると、所得税で親などが受ける特定親族特別控除が段階的に減少し、年収が188万円を超えると、特定親族特別控除は受けられない。

160万円
【税金の壁】

①年収160万円を超えると、本人に所得税が段階的に賦課される。
所得税の基礎控除(58万円)+給与所得控除の最低保障額(65万円)+低所得者に対する所得税の基礎控除の特例(37万円)=160万円

・世帯の手取り収入は減少しない。
・所得税の基礎控除の特例は、2025(令和7)年12月1日施行。年末調整で調整される。

②年収160万円を超えると、所得税で配偶者が受ける配偶者特別控除が段階的に減少し、年収が201.6万円を超えると、配偶者特別控除を受けられない。

 ・世帯の手取り収入は減少しない。

  • 1 毎月支払われる基本的な賃金を指し、時間外手当や家族手当、通勤手当、賞与などは除く。
  • 2 今後1年間の収入を見込む際には、例えば、認定時(前回の確認時)には想定していなかった事情により、一時的に収入が増加し、直近3カ月の収入を年収に換算すると130万円以上となる場合であっても、直ちに被扶養者認定を取消すのではなく、過去の課税証明書、給与明細書、雇用契約書などと照らして、総合的に将来収入の見込みを判断することとしている。また、年収の壁・支援強化パッケージでは、一時的な収入変動(人手不足による労働時間の延長など)である旨の事業主の証明があれば、引き続き第3号被保険者でいることが可能。
19歳~23歳未満の子を扶養する親などが受けられる控除

アルバイトなどで働く子どもの年収が次の額を超えると、親などが所得税の「特定扶養控除」や「特定親族特別控除」を受けられなくなり、親の税負担が増えることになります。

控除の種類 所得税の控除額 子の年収要件
特定扶養控除 63万円 123万円以下
特定親族特別控除 63万円~3万円

123万円超188万円以下
(150万円を超えると段階的に控除額が減る)

<厚生労働省「第7回社会保障審議会年金部会(令和5年9月21日)資料」、財務省HP「税制改正の概要」をもとに作成>

配偶者のいる女性パートタイム労働者の約2割が就業調整

パートタイム労働者のうち、就業調整をしている人は15.9%、配偶者がいる女性のパートタイム労働者では21.8%(約5人に1人)となっています。

就業調整をする理由について、全体では「自分の所得税の非課税限度額(103万円)を超えると税金を払わなければならないから」が46.1%で最も多く、次いで「一定額(130万円)を超えると配偶者の健康保険、厚生年金保険の被扶養者からはずれ、自分で加入しなければならなくなるから」が44.6%で多くなっています。
配偶者がいる女性では「一定額(130万円)を超えると配偶者の健康保険、厚生年金保険の被扶養者からはずれ、自分で加入しなければならなくなるから」が57.3%と最も多く、次いで「自分の所得税の非課税限度額(103万円)を超えると税金を払わなければならないから」が49.6%と多くなっています。

※103万円は調査時点(2025(令和7)年度税制改正により160万円となる前)の所得税の非課税限度額

就業調整の有無別パートタイム労働者の割合

就業調整の有無別パートタイム労働者の割合

※総数には配偶者の有無不明が含まれる。

<厚生労働省「パートタイム・有期雇用労働者総合実態調査」/令和3年>

就業調整の理由別パートタイム労働者の割合

就業調整の理由別パートタイム労働者の割合

※総数には配偶者の有無不明が含まれる。
は、最も多い理由、は次に多い理由(「その他」を除く)。

<厚生労働省「パートタイム・有期雇用労働者総合実態調査」/令和3年>