公益財団法人 生命保険文化センター

X youtube
教育の現場から
No.01

家庭科および公民科における授業内容を踏まえた「リスク管理」に関する実践報告

 東京都立竹早高等学校 三野 直子 先生  元東京都立竹早高等学校 原田 明 先生

 

今回の実践報告は、原田先生が昨年1年生の公民科で教えた社会保障の内容を引き継いだ形で、現2年生の家庭科の中で社会保障を取り上げています。

登壇(三野先生、原田先生)

【家庭科 三野直子先生】

東京都立竹早高等学校は丸ノ内線の茗荷谷駅と後楽園駅のちょうど真ん中あたりにある学校です。前身が女子校だったということで男女比率は半々でしたが、男女枠がなくなり現在は女子が若干多い学校です。家庭科は1学期4回、全体で8回です。前半・後半という形で、私が240名の生徒全員を教えています。進学校となっています。

スライド1(三野先生)

商業の先生が授業で扱っていたイソップ物語の「アリとキリギリス」の話を参考に使いました。それから「三匹の子ぶた」や「フランダースの犬」の話は、私自身が分かりやすいと思って取り入れています。

この後に紹介しますが、社会保障のない時代に、子どもたちはどういう生き方をしていたか触れる際には、「オリバーツイスト」の話を取り入れています。「アリとキリギリス」では、日本流の結末やその後人生を時間軸で眺めて授業展開をしていく中で、お金に苦労しない生き方についても扱っています。生徒にとっては「近い将来、遠い未来」ということで、大体30歳までなら想像ができると思っているところです。

スライド2(三野先生)

私が厚生労働省の教材作成のお手伝いをさせていただいた経緯があり、農業高校の前任校で教材を使用した実践報告もさせていただきました。

スライド3(三野先生)

学習指導要領には、制度としての支援体制、「自助・共助・公助」という形で書かれています。社会科は仕組みで、家庭科は自分を含めて人間がこの仕組みをどのように理解し、どのように使ったり役立てたりするかを中心に学びます。これが社会科と家庭科の大きな違いではないかと思って授業を進めています。また、家族構成、収入支出の変化についても家庭科では触れます。これらを社会保障制度などと関連付けながら考えます。

スライド4(三野先生)

スライド5(三野先生)

まず、ワークシートの「セリフ」の部分を生徒に読んでもらいます。そして、社会保障のキーワードに線を引いてもらい、年代比較をしていきます。『今と昔はどうですか』ということで、「家族に頼る」「社会保障制度」「3つの年金制度」をポイントとして伝えています。

子どもや高齢者などが犠牲になっていく話をする際に、「フランダースの犬」の話を使っています。また、8050問題も取り上げています。80歳のお父さんと経済的な支えが必要となる50歳の子どもがどのように生活しているか扱い、年金の話をします。お父さんが亡くなった場合、どうなるかという話です。そういうことも含めて、この後の高齢者問題へと展開していきます。

「フランダースの犬」では、高齢のおじいさんが二人暮らしをしていたのは、小さい子どもでした。悲愴的なシチュエーションの中で子どもは死んでいくわけですが、社会保障があれば、死ななかったかもしれないよねという話もできるかと思います。

次に、世界に目を向けて「救貧法」を扱っています。この法律ができた時代の日本は、関ヶ原の戦いあたりの時代でした。日本がいかに後進国であったかが分かると思います。

スライド7(三野先生)

「社会保障とは」ということで、役割、機能、財源、給付の意味を抜き書きするという流れで進めています。中学の社会科や高校でも勉強していると思いますが、累進課税や所得再分配の仕組みについて触れています。所得が高額の人にも一定の給付がある点については、黒板に簡単に図やグラフを描きながら解説しています。

スライド10(三野先生)

なぜ社会保障があるのかということを、憲法25条の生存権を裏付けとして説明しています。生存権の全文を言える生徒が何人かいますので、昔勉強した内容を掘り起こして思い出してもらったりしています。

「イソップ物語」は、プリントにある物語を3行ずつぐらいで区切って順番に生徒に読んでもらい、社会保障を学んでもらいます。キリギリスは、夏はずっと踊っていました。そこで、アリがキリギリスに対して、「冬も踊っていればいい」と言います。そうするとキリギリスは冬も踊っているわけですから、最終的に死んでしまいます。そして、もう1つのセリフが出てきます。これが「さあ、遠慮なく食べなさい。元気になって今年の夏も歌を聞かせてください」ということで、アリがキリギリスに手を差し伸べます。しかし、春の前に食糧がなくなった場合、アリはキリギリスをどうするかというと、食べてしまうか追い出してしまうかのどちらかです。つまり、人生には色々な選択肢があり、その中で最善を尽くすことを自分なりに考えていく必要があると伝えています。

スライド11(三野先生)

次に、西洋流の結末です。自助努力をしないで何かあれば、自業自得ということです。牧畜民族の思想は「個人」なので、人の手を借りずに自分でやり抜きます。日本流の結末の「苦しいときはお互いさま(情に訴える)」は、いわゆる最近言われている同調社会です。日本は一緒に手をつないで仲良くやっていくのが助け合いで、良い部分もありますが、そうではない部分もあると思います。

違いを教える中で強調したいのは、人生を考え、計画的に生きることができれば、人生にある様々なリスクを減らすことができる点です。お金の話は最終的に3学期で実施しますが、人間関係でお金が出てくると色々なトラブルに巻き込まれる可能性があります。家庭科では投資の話もしないといけませんが、その前におさえておきたいことだと私自身は思っています。

スライド12(三野先生)

最近、新たに触れているのが、「平等」の原則と「公平」の原則です。要するに、結果には平等はありません。「継続は力なり」という言葉がありますが、生徒には「継続は疲れますよ」と言います。しかし、それは1つの事実ですし、真理だと思っているところです。だからこそ、機会があっても生かせなければ差は出ます。

例えば、保険に加入していれば、ケガをした場合に保険金が受け取れます。自転車事故で高額を請求された子どもがいましたが、安心を買うのが保険です。「海外旅行に行くときに、大体みんな保険掛けるよね」と海外旅行保険の話をしています。帰ってきたときに何もなかったら「掛けなくてもよかったかな」と思う人がほとんどですが、「知らない国に行って安心して旅行ができるという意味では、保険に入っていることで行動範囲を大きくなり、色々なメリットがあるよね」といった話もしています。

また、最近気になる言葉が損得勘定です。「損をしたくないので、一生懸命勉強します」とコメントを書いた生徒がいましたが、損をしたくないから勉強を一生懸命するのはおかしな話です。そういう意味では私たちの世代が思っている損得の量り方と、今子どもたちが思っている損得の意味合いが若干ぶれてきているのかなと思っています。

二十歳になったときに同じシチュエーションで同じ答えを出すかと言えば、多分違ってくると思っています。生徒には、得ではなくて「良かった」と、損ではなくて「残念」といったぐらいのニュアンスで留め置いた方が分かりやすいと思います。家庭科では多角的に色々な物の見方をして考えてほしいという側面も紹介しています。

スライド12(三野先生)

国民負担率は国民にとっての税の重さの指標です。高福祉・高負担の北欧型、大陸型など、色々な言い方がありますが、スウェーデンの人口に注目していない人が多いです。国の規模感でできる高福祉・高負担かもしれないと思っています。

スライド21(三野先生)

国民負担率の国際比較についても、生徒に読み取ってもらっています。棒グラフを使って、どこの国が1位で、日本は何番目かを生徒に答えてもらっています。

スライド15(三野先生)

スライド16(三野先生)

負担を表すイラストとして、現在は高齢者一人を現役世代複数名で支える肩車方式がもう限界だということで、「全世代型」の肩車方式の紹介をしています。また、最後のセーフネットとして生活保護も扱います。高齢者の人口が増えることで、社会保障費が肥大化しています。社会保障で大事なのは、「財源なくして、社会保障なし」という点です。

スライド18(三野先生)

健康保険という言い方と医療保険という言い方がありますので、先生方が使う際にしっかり押さえた形で話さないと、生徒も分かりにくくなるかなと最近気付きました。そして、3つの「助」です。この図は大事だと話しています。

スライド20(三野先生)

ライフサイクルの中の給付として、公共で言っている3つの助、共助の社会保険が5つ、その中の年金保険は3つとなっており、生徒に5、3、5は共通テストの基礎中の基礎だと話しています。年金は老齢年金ばかりがクローズアップされますが、実は障害年金も大きいです。

スライド21(三野先生)

色々なことに興味がある生徒もいますので、国債残高の推移についても触れています。

スライド22(三野先生)

そして、将来の社会保障給付費の見通しについて触れ、逼迫した状態が続いていくことについて話をしています。

スライド23(三野先生)

家庭科では人生の時間軸という点が盛んに出てきます。色々な人がいるから、自分がいるロールモデルが全てではないことこそが大事だと思います。色々な人がいて、色々な仕事があって、社会が動いていることについて触れています。

スライド24(三野先生)

家庭科を通じて私が言いたいのは、近い将来について一歩先を見据えて、知り、考え、余裕があれば、色々な手だてを見つけるということです。大学でのスキルアップ、留学や就職、色々なことについて授業を通して学んでもらえたらと思っています。 

社会保障は全てを保障しないという点と、民間保障で補てんする手だてがあるという点も1つの選択肢です。その選択肢を生かせるのは本人次第ですので、最初にお話ししましたように、お金に苦労しない人生をいかに送るかというところを、家庭科の中で少しでも残せたらいいかなと思っています。

スライド28(三野先生)

それでは、まとめに入ります。人の一生を見据えて、自分が主役だと考えて取り組むのが家庭科です。光の当て方を変えることによって、一方的ではなく、色々な見方で世の中を見てほしいと思っています。

また、様々な教授法ということで、プロジェクターとスマートフォンがあれば画面を見せることができます。少しでもインパクトがある、今日は勉強してみようと思わせる授業展開という点では、新聞記事もそうですし、色々な物を差し込むことで授業が華やぐ部分があるかと思います。私はあまりグループ学習が得意ではありませんが、机をロの字にするとか、生徒は自分でできます。ただ、机を元に戻す時間がもったいないと思っていますので、机を少し寄せて、振り向いて意見交換という形で、話し合いを授業に取り入れて、その後、時間があれば発表しています。

スライド27(三野先生)

それではこちらで終わりにさせていただきます。ありがとうございました。

【公民科 原田明先生】

 登壇(原田先生)

公民科の公共という科目についてお話しさせていただきたいと思います。家庭科の話を聞きまして、家庭科もだいぶ昔より違っているなという印象を受けています。現在では家庭というよりも家政として、家計をどう切り盛りするのか、家庭でどんな話をするのかといった内容が中心だと思います。

スライド1(原田先生)

「公共」は新しい科目ですが、これはどういう位置付けなのか、どういう取り扱いをする科目なのか、あらためてしっかり把握をしていきたいと思います。次に指導計画です。実際には時間的にかなり厳しいですが、社会保障の指導計画をこんな具合に考えましたというところお話します。最後に「まとめ」という形で、家庭科と公民科との違いや連携について述べたいと思います。

スライド2(原田先生)

まずは公民科「公共」という科目の性格と目標を見ておきたいと思います。現実社会の諸課題という言い方をしています。この現実社会という言い方は、今まであまり聞いたことがなかったと思います。新聞やニュースに出てくるような問題の解決に向けて、主体的に参画しましょうということが最初に出てきます。何らかの社会問題に対してどのように関わるかについて考えるに当たって役に立つことというイメージなのかなと思っています。

そして、この「公共」が必修科目になりました。「公共」と「倫理」と「政治・経済」の3科目が公民科の科目ですが、そのうちの必修科目として位置付けられています。本校では1年生で「公共」を実施し、3年生で文系のクラスが「政治・経済」を必修となっています。理系は「政治・経済」を実施しません。生徒にとっては、「公共」は政治的に、あるいは経済的に社会的な諸問題を学ぶ最後の科目になるかもしれません。そういう意味で、この科目の固有の性格を明確にしていく必要もあるのではないかと思っています。

目標についてですが、人間と社会の在り方についての見方・考え方は、実は言葉として語られる割に、学習指導要領の正式な文言としてあまり出てきていないのかなと思います。倫理の主体や、公正に判断する力、議論する力などが言われています。そして、人間としての在り方、生き方についての自覚を深めさせるような授業が問われています。

スライド4(原田先生)

学習指導要領における社会保障の位置付けとして、「財政及び租税の役割」と「少子高齢社会における社会保障の充実」をお互い関連させていくようにということです。現状と関連させていく必要があるということです。そして、「財政の持続可能性と関連付けて扱うこと」という形になっています。従って、社会保障の前の授業は財政となり、金融や財政を学んでから社会保障という順番で授業を実施しました。

スライド5(原田先生)

社会保障の主題例として、民間企業でも提供できるサービスはあるが、政府としてやる意義はどこにあるのかが挙げられます。また、ヨーロッパ諸国の中ではどれぐらい租税負担があるのか、高齢社会における国民負担率の上昇を抑える方策なども主題例です。いわゆる大きい政府、小さい政府の考え方がありますが、それに関してディベートをさせてみたらどうかという話がよくありましたが、その流れがきているのかなと思います。要は「自助・共助・公助」の組み合わせの在り方が大きな主題になるのではないだろうかということです。様々な主題を多面的・多角的に考察、構想し、表現できるようにするとあり、みんなの前でしっかり説明できるように、表現力を高めるようにしていくのが、そもそもの狙いです。

スライド6(原田先生)

基礎理論をきちんと勉強する必要があり、非常に大変です。指導計画をしっかりと立てないといけないと思いつつも、現実問題として授業の進度は遅れがちになっていきます。指導計画として、直前に財政を指導した上で、社会保障の目的や歴史、現状と課題の順番で捉えていくという計画を立ててみました。

スライド8(原田先生)

資本主義経済では色々な内容がありますが、そこで「自助・共助・公助」の考え方があります。社会保障制度の根拠が何なのかというと、憲法第25条の社会権、生存権になります。生徒はこれらをよく知っています。きっと中学校の先生方がしっかり指導されているのだろうと思っています。

スライド9(原田先生)

権利としての社会保障の基本は支え合いです。その上に立って、「自助・共助・公助」があります。例えば、アメリカは自助を重視しています。共助は日本やドイツ、フランスなどいわゆるヨーロッパ型となります。北欧型では公助が重視されています。

スライド10(原田先生)

自助の例として、「何かあったら困るよね。」と生徒に投げかけてみても、生徒はあまりピンとこないです。どのように備えていくのかは、三角形の貯金と四角形の保険があります。それぞれの特色を理解しながら、自分の生活を成り立たせて、危機管理をしていくことになります。

スライド11(原田先生)

生命保険といった言葉自体は聞いたことがあると思いますが、保険に関しては生徒もピンとこない様子です。そこで色々な危機や危険に対する備え方があるというお話しをしていきます。面白いデータがありましたので持ってきました。亡くなったらいくらか保険金が受け取れるのは生命保険の典型ですが、実際には医療費や入院費のためなど、何かあったときのために保険に入る人が多くなっています。この表を使ってみて、生命保険や損害保険に入ることで危険を回避していると伝えています。

スライド12(原田先生)

日本ではどういった形で社会保障が始まったかという話に入っていきます。「お互いに助け合う」ということです。本来そうあるべきところを、そうはいかない状況があるため、国が面倒を見ましょうということです。従って、何らかの状況があれば、申し出るようにとなっています。

スライド13(原田先生)

次に、世界の社会保障の始まりです。最初はエリザベス救貧法です。エリザベス救貧法は国家が初めて生活困窮者に対しての救済策を定めた法律ですが、「富裕層から救貧税を徴収して、労働できない貧困者を救済した。」という形で、一種の累進課税で、所得再分配になっています。単に「助けてあげる」ではなく、社会の仕組みの中でしっかり保障されることになっています。

社会保険はドイツのビスマルクが作ったもので、健康保険法の原始的な政策です。そして、イギリスのベバリッジ報告です。社会保障制度が民主的な制度として発足していくきっかけになる法律です。このように、ヨーロッパではずいぶん昔から法令として、社会のシステムとして作られていたというお話をします。

スライド14(原田先生)

その上で、改めて日本における社会保障制度の説明に入っていきます。①~④の4つの柱が日本の社会保障制度になります。

スライド15(原田先生)

まずは社会保険ですが、いわゆる年金や医療保険などを指します。この仕組みは私たちの生活では、亡くなるまでずっとお世話になっていきます。就学期から、職業生活を引退した後まで色々な形で社会保険が役に立っているという形になります。

スライド16(原田先生)

さて、ようやく社会保障はお金が掛かるという話になります。つまり、どのようにそのお金を調達し、どういった人々にどのような利益があるかということになりますが、これらを考えることによって、社会保障制度が支え合いの中で出来上がっていることが分かります。社会保険料で賄い切れない部分は税金から賄われたり、国債が発行されたりします。ここで、収入の割に支出が多いため、赤字になっている状況も併せてお話ししていきます。

スライド17(原田先生)

スライド18(原田先生)

社会保障関係費としてどれだけお金を使ってるいるのかを歳出と歳入のグラフを使って見ておきます。1990年代の歳出と2024年の歳出を比較しても分かるように、ものすごく増えています。歳入も歳入で随分増えていますが、どこが増えているかというと、一番右側の借金の部分です。借金以外はそれほど増えていません。要するに、税収は少ないわけではありませんが、増加分が借金で賄われているということです。

スライド19(原田先生)

2022年時点の日本のGDPは約568兆円ですが、債務残高は1,482兆あります。日本の赤字財政が際立っていますが、例えばドイツでは低くなっています。ドイツは憲法に赤字国債は何%までだと明文化されています。逆に言うと、憲法改正しないと国債発行ができない仕組みです。日本はそういった仕組みはなく、赤字国債を発行しています。「こんなに借金して大丈夫だろうか。」と生徒に尋ねてみると、うーんといった顔をします。

スライド20(原田先生)

ここからは年金の中身を見ていきます。ここで難しいのは年金の仕組みです。2階建ての2階部分に厚生年金があり、勤め人は国民年金に加えて厚生年金という形で保険料を納めています。基本的には1階と2階ですが、確定給付金や企業年金など、いわゆる3階建て部分もあったりします。これらのことをまずは掴んでもらいます。

スライド21(原田先生)

その次に、ライフコース別にみた公的年金の保障に移ります。国民年金だけを納めている人は、給付水準的には低くなります。サラリーマンは人によっても若干違いますが、月額15万ぐらい受け取れます。その代わり、国民年金と違って納める額も個人の給与によって違ってくることになります。国民年金だけでは困りますが、「ではどうすればいいか」と尋ねて、民間の保険を加入したり、貯金をしたりして、自分の生活を自分で考えなければならないと伝えています。

スライド22(原田先生)

年金制度には積立方式と賦課方式があります。現在は賦課方式ですが、かつては積立方式でした。つまり、自分が積み立てたお金を、老後に受け取れる仕組みです。ところが、積立方式はインフレに弱いのがデメリットです。物価がどんどん上がっていけば、月々いくらと言っても、その額だと困ってしまいます。もう一方が賦課方式です。必要な給付費用を、その年度の保険料と公費で賄っていく仕組みです。みんなで出し合ってプールされたお金から支払っていく形です。しかし、子どもがどんどん減っていって、若い人たちも減っていくとなると、保険料を納める人がいなくなります。給付される高齢者の方がどんどん増えています。こういう状況になってきたときに、賦課方式の限界が出てくることになります。これが1つ大きな社会保険上の課題になっていると伝えています。ではどういう制度がいいのかということですが、それを考えていかなければなりません。

スライド23(原田先生)

それでは、まとめに入ります。まず、教科・科目の趣旨に照らして、生徒が根拠をもって考えることができるようにすることが大切です。そのためには、とにかく資料を持ってきて、一つ一つを解説しています。今回の社会保障制度や財政だけではなく、色々な単元で継続してやってきました。歴史的な史料も含めて、きちんと示した上で、「こうなってますよ」ということを繰り返し繰り返しやってきました。社会保障の問題といっても、公共は公民科の科目の一部ですから、ここだけ何か特別ということではなく、資料や文書、法律を根拠にしながら話をしています。ここが一番大切なことだと思っています。

また、ホームルームや環境の時間などで色々な職業調べやテーマ学習を実施しています。先ほど家庭科の話でもありましたが、ライフプランを考えさせていく中で、自助への自覚を促すと同時に、自分の人生をどういうふうに過ごしていきたいのかを考えていくことです。これは指導の中で重要で、社会保障の問題を考える1つ要素になっていくのかなと思っています。ライフプランを考える上で役に立てると嬉しいという思いで授業をしてきました。

生活経験はすごく大きいと思っています。のんびりほんわか育った子もいれば、厳しい環境下で育った子もいます。色々な子の生活経験がある中で、家庭で話し合いなどを促せるようなお話の仕方ができればいいかなと思います。

中学生だとただ単に遊んでいたり、興味のあることだけをやっていたりする背景があります。世の中の経済がどうなっているのかといった生活に関する現実感がありません。野原を駆けずり回って虫や花などを観察したり、草原で寝っ転がったりする経験が現実感を持つことも必要だと思います。社会科の問題ではありませんが、できるだけみんなでニュース見て、お互いに話し合うといった交流があるといいのかもしれません。自分の中で引き寄せて考えられたり、誘発できたりする経験がある程度は必要なのかなと思っています。

スライド25(原田先生)

以上で発表を終わらせていただきたいと思います。ありがとうございました。