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ESSAY エッセイ
消費生活相談

「儲け話」には気をつけて!-消費者トラブルを防ぐための注意点-

公益社団法人 全国消費生活相談員協会 関東支部 金融サービス研究会代表 萩原 規子

「SNSで仲良くなった人に暗号資産投資を勧められ、やってみたら儲かったので暗号資産を引き出そうとしたら引き出せない。」「婚活サイトで親しくなった人から将来のために一緒にお金を貯めようと誘われ海外FX投資を始めたが、気がついたら投資サイトの残高がなくなっていた。」「簡単に投資で稼げるというネット広告を見て情報をもらうためお金を支払ったが、儲からない。」等々、恋愛感情につけ込んだいわゆるロマンス詐欺や投資での儲け話にまつわる相談が激増しています。

きっかけは出会い系サイトやSNSで知り合った人に誘われたり、魅力的な文言のネット広告から始まったりしています。

ロマンス詐欺の手口の多くは出会い系サイトやSNSで仲良くなった人から投資で儲ける話を持ちかけられ、投資資金と称し相手が指定した個人名義の銀行口座にお金を振り込ませたり、暗号資産を送らせたりします。相手からは偽サイトや偽アプリが提供され、その中では送金した金額や運用益が表示され、あたかもお金が入っていて実際に投資運用されているように見えるので信用してしまいます。しかし実際にはお金は入っておらず、運用もされていません。また、最初に少額だけ儲けたお金を引き出すことができるようにして信用させて、さらに投資資金を出すよう仕向けたり、儲かったお金を引き出したいという心理につけ込み、儲けたお金を引き出すためには税金を支払わないと引き出せないなどと言ってお金を支払わせたりと手口は巧妙で悪質です。

 銀行口座に振り込んだお金や、指示されたところに送った暗号資産は相手に搾取されてしまいます。特に暗号資産は世界中のどこにでも簡単に送ることができるので、誰に盗られたかを特定することは困難ですし、投資資金を、知らない個人名義の銀行口座に振り込むこと自体があり得ないことです。これらの相談の被害額は数千万円に及んでいるケースもあり、事態は深刻です。

 そもそも誘ってきた相手とは会ったこともなく、SNSやネット上で繋がっているだけで、所在も実在する人なのかも不明です。相手がわからなければ返金交渉はできませんし、お金を搾取している人に返金を求めても返金されるとは思えません。相手がわからないというのはオンライン特有の問題であり、早急な対応策が求められますが、現時点では自分の財産は自分で守るしか方法がありません。

 また、簡単に儲かるなどと詐欺的な広告を出して、高額な投資の情報商材やFXや暗号資産の自動売買システムなどを購入させるケースもあります。しかしそのようなものを購入しても実際には儲からず、購入した情報商材やシステムの購入代金の支払いもできなくて困ったという相談も多く入っています。投資にはリスクがあるので、投資の知識が無く取引をすることは非常に危険ですし、実際に有用な情報なのか、システムなのかも判断できません。

 簡単に儲かる話などは無く、ましてや会ったこともない見ず知らずの人に儲け話を持ちかけられた時には、儲かるのは相手だと思って間違いありません。大切なお金を失うことがないよう、このような儲け話にはかかわらないことが大切です。少しでもおかしいと思ったら被害が大きくなる前にやめる勇気も必要です。トラブルに遭ってしまったと思ったら一人で悩まず、消費生活センターなどの相談窓口に相談してください。

プロフィール

萩原 規子(掲載用写真)

萩原 規子(はぎわら のりこ)

公益社団法人 全国消費生活相談員協会 関東支部 金融サービス研究会代表