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新型コロナウイルス感染症―加入中の生命保険はどう活きる?

(公財)生命保険文化センター 編集子(Y)

※このエッセイは、2020年4月21日時点で作成しています。
今後、取扱いなどが変更される可能性があるため、生命保険会社のホームページなどで確認が必要です。

新型コロナウイルス感染症の拡大により、私たちの生活には様々な影響が現れています。

生命保険文化センターでは、消費者から生命保険・生活設計などに関する一般的な相談を電話などで受け付けていますが、最近は新型コロナウイルス感染症に関する相談が寄せられるようになってきました。
私が実際に受けた相談内容の例としては、
「新型コロナウイルス感染症で入院した場合、入院給付金は受け取れるのでしょうか。」や
「新型コロナウイルス感染症拡大防止策の影響により仕事が減少してしまい、家計が苦しいです。生命保険に加入していますが、私に万が一のことがあっても家族が不自由なく生活してほしいという想いで加入したので、解約したくないです。いい方法はないでしょうか。」などがありました。
新型コロナウイルス感染症には、2つのリスクがあるのではないでしょうか。1つは、ウイルスに感染するリスク。もう1つは、感染防止策により仕事や収入が減り、一時的に生活費などが不足するリスクです。
今回は、この2つのリスクに対応する生命保険の取扱いをご紹介します。

1. 新型コロナウイルスに感染したら、保険金や給付金は受け取れる?

新型コロナウイルス感染症に感染した場合、加入している生命保険から保険金や給付金が受け取れるのでしょうか。

(1)新型コロナウイルス感染症が原因で亡くなった場合

万一の死亡に備える生命保険(定期保険・収入保障保険・養老保険・終身保険など)に加入していて、新型コロナウイルス感染症が原因で亡くなった場合、「通常の」死亡保険金を受け取れます。ここで「通常の」というのは、災害によって死亡した場合に死亡保険金が割増し(上乗せ)になる「災害死亡保険金」と区別する必要があるからです。
※2020年4月21日現在において、災害割増特約などを付加している契約(災害による死亡の場合に通常の死亡保険金に割増(上乗せ)した受取額になる契約)では、多くの生命保険会社で、新型コロナウイルス感染症による災害死亡保険金は支払対象外となっています。しかし、災害死亡保険金を支払対象とする生命保険会社もあり、各生命保険会社の今後の取扱いを注視していく必要があります。

(2)新型コロナウイルス感染症が原因で入院した場合

病気やケガに備える医療保険(または医療関係の特約)に加入していて、新型コロナウイルス感染症で入院した場合、加入している医療保険の給付要件に応じて入院給付金を受け取れます。

新型コロナウイルス感染症については、以下のような特別な取扱いを行う生命保険会社もあります。

① 医師の指示で臨時施設(軽症者を治療するホテルなど)または自宅にて療養した場合、その療養期間についても入院給付金を受け取れる
② 医療機関が満床などの理由で退院予定日が早くなり退院を余儀なくされた場合、本来必要であった入院期間について医師の証明書などを生命保険会社に提出することで、その療養期間についても入院給付金を受け取れる
上記①、②の取扱いは生命保険会社によって異なるので、加入中の生命保険会社に確認することが大切です。

2. 仕事や収入が減ってしまった時、生命保険で利用できる制度はある?

収入が減ってしまい生活費などが不足する場合、「一時的に支出を減らす」ことや「一時的にお金を借りる」ことなどを検討するかもしれません。以下の(1)で「一時的に支出を減らす」方法、(2)で「一時的にお金を借りる」方法をご紹介します。

(1)保険料払込猶予(ゆうよ)期間の延長

保険料の払込みが困難な場合、保険契約者からの申し出により、保険料払込猶予期間を最長6カ月間延長する取扱いが実施されています。保険料払込猶予期間とは、保険料の払込期限を迎えても、すぐに失効(契約が効力を失い、保障が切れてしまった状態)せず、その後一定期間内に払い込めば保険契約が有効に継続できる期間のことです。多くの生命保険会社が保険料払込猶予期間を2020年9月30日までとしていますが、生命保険会社によっては、2020年8月31日や2020年10月31日までとしている生命保険会社もあります。
※あくまで保険料の払い込みを猶予する期間を延長するもので、保険料が免除される訳ではありません。

(2)契約者貸付に対する利息の免除

契約者貸付とは、契約者が契約している生命保険の解約返戻金の一定範囲内(積み立てているお金の一部)で、貸付を受けることができる制度です。一般的に、契約者貸付を受けている間も、保障は継続し、配当金を受け取る権利も継続します。ただし、保険種類などによっては利用できない場合があります。
契約者貸付の貸付金には、通常は生命保険会社所定の利息(複利)がつきます。しかし、新型コロナウイルス感染症にかかる一時的な措置として、貸付金利を0%にしている生命保険会社があります。この特別な取扱いには、新型コロナウイルス感染症に感染しているなどの条件はなく、下記のとおり対象となる期間が定められています。
貸付金利0%の貸付を申込むには、申込受付期間を2020年5月31日までとしている生命保険会社が多く、貸付金利0%の特別金利が適用される期間は、新規で貸付を受けた日から2020年9月30日までとなっています。2020年10月1日からは、生命保険会社所定の通常の貸付金利となります。
契約者貸付は、審査などの手続きが必要な他の金融機関の借入とは異なり、解約返戻金の一定範囲内(積み立てているお金の一部)からお金を借りるため、銀行口座への入金が早いのがメリットといえます。契約者貸付の申込みをした場合、翌日か翌々日には銀行口座へ入金する生命保険会社もあります。新型コロナウイルス感染症の影響により、一時的にお金を借りたいときには有効な方法ではないでしょうか。
※生命保険会社に据え置いている積立配当金・祝金などがあれば、それらを引き出し利用するという方法もあります。

今回は、新型コロナウイルス感染症に関する生命保険の取扱いについてご紹介しました。

この状況から一刻も早く抜け出し、安心して毎日を送ることができるようになることを切に願っています。

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