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教育の現場から
No.02

「消費生活・生活設計」セミナーを開催

 生命保険文化センター

当センターでは、本年2月に公表した『高校生の消費生活と生活設計に関するアンケート調査(第2回)』の結果から、近年の高校生の消費生活や生活設計について報告とともに、主に高校教員に向けて、日頃の学習指導にお役立ていただきたく、「消費生活・生活設計」セミナーを、以下の通り開催しました(詳細についてはセミナー概要の該当箇所をクリックすると、確認いただけます。)

<セミナー概要>
13:30 ~ 14:30 基調講演:「高校生が陥りやすい最近のインターネットトラブルについて」
講師:一般社団法人ECネットワーク理事 原田 由里 氏
<講師略歴>
日本消費者協会相談室相談員、都内消費者センター相談員、次世代電子商取引推進協議会ネットショッピング紛争相談室相談リーダーなどを歴任。平成18年4月より一般社団法人ECネットワーク理事。
一般消費者・消費生活センター・教職員などに向けて、ネットのトラブルなどの啓発活動を多数実施。
14:30 ~ 15:00 「高校生の消費生活と生活設計に関するアンケート調査(第2回)」 結果から見る高校生の現状
(消費者教育支援センター・生命保険文化センター)
15:00 ~ 15:05 休憩
15:05 ~ 16:30 消費生活・生活設計等に関する学校教材報告
消費者教育支援センターが提供している学校教材「消費アクションゲーム」と「私たちの行動が未来をつくる-めざせ!消費者市民-」、生命保険文化センターが提供している50分授業セット「生活設計とリスクへの備え」や生活設計に使えるデータ&ワーク集「君とみらいとライフプラン」について、実際に教材を体験していただきながら利用方法を紹介しました。

高校生が陥りやすい最近のインターネットトラブルについて

一般社団法人ECネットワーク理事 原田 由里氏

はじめに

一般社団法人ECネットワークは、「トラブルなく、安心して利用できるEコマース市場」を目指して活動する非営利民間組織です。インターネット関連に特化したトラブルの相談を無料で受け付けています。

本日は、「高校生が陥りやすい」を切り口に、若い世代が巻き込まれやすいトラブル事例を交えながらお話ししたいと思います。

今はどこでも気軽にインターネット(以下、ネット)が利用できる環境にあります。高校生はネットゲームやSNSに強い関心のある世代であり、スマートフォン(以下、スマホ)の普及も進んでいます。

スマホは、いつでもネットにつながり、いつでも情報が入手できるということで非常に便利なものです。しかし、ネット上では、世界中の人とつながることができるため、世界中の悪さをする人とつながってしまう恐れがあります。

また、Eコマースは法律などによる規制には限界があり、被害に遭っても犯人を特定する手段は限られてきます。

とはいえ、もはやネットを使わない時代には戻れません。ネットで問題を起こさないためには、利用者である私たちがセキュリティを確保し、数多の情報を選別するセンスを磨き、ネットリテラシー(使いこなす能力)を早くから身に付ける必要があります。

2017.7

講演の主な内容

◇ネットはグローバル(地球単位)。
◇SNSの設定は自分を守る上で重要。でも限界もあることを知る。
◇SNSを利用する上でのマナーは「自分を大切にして相手を思いやる気持ち」。想像力を鍛えることが大事。
◇情報管理意識を持つことが大事。
◇広告・勧誘サイトを見分けるセンスを磨く(すぐに行動せず客観視して考える癖をつける)。
◇被害防止には積極的な情報収集も必要。

ネットリテラシーが低いと懸念されること

◆ネットで騙されることもある

ネット上の情報は、すべて正しいとは限らないため以下のように騙される可能性があります。
・詐欺や悪質商法に引っかかる
・情報をすべて鵜呑みにして後悔する

◆人に迷惑をかけることもある

自分が被害に遭うだけでなく、以下のように人にも迷惑をかけてしまうことがあります。
・デマ拡散
ネットでは一瞬で情報が広範囲に拡散されていきます。
・ウイルス感染や攻撃対象となる
今は世界的にも各地で大規模なサイバー攻撃が起こっています。メール1つでウイルスに感染してしまう危険が潜んでいます。
・他人の権利を侵害する
・情報漏洩を起こす
友達の情報を勝手にネットに上げると他人の権利を侵害することになります。

2017.7

スマホのアプリで発生する問題

◆さまざまなアプリ

スマホにはさまざまなアプリケーション(以下、アプリ)を入れることができます。高校生に人気が高いアプリには、SNS、ゲームのほか動画や画像・音楽などの配信サービス、フリマ(フリーマーケット:個人間売買)などがあります。フリマには高校生も参加でき、多くの生徒が洋服や化粧品などを売買しています。

◆不正なアプリもある

便利なアプリは、カメラ、アドレス帳、サイト閲覧やメールの履歴保存、画像保存などの機能を利用して作られています。しかし、残念ながらアプリの中には不正なもの、使い方を誤ると問題を発生させるものが含まれています。

◆不正なアプリの問題点

たとえば女性に圧倒的に人気のある「自撮りアプリ」は、撮るときにシャッター音がしないので、盗撮しようとする人にも便利な機能ということになってしまいます。
また、「画面が太陽光パネルになるアプリ」「水が水素水になるアプリ」など、怪しいものやジョークのようなものもたくさんあります。問題は、その中にはスマホ内の情報を抜き取ることが目的のアプリが存在するということです。

アプリを入れる時の注意点

◆公式マーケット以外からダウンロードはしない

アプリは通常「App Store」「Google play」などの公式マーケットからダウンロードしますが、面白そうだからと吟味せず何でも入れてしまわないことが大切です。

このような事例があります。 「ある男子生徒がネットで知り合った女性と無料通話アプリのIDを交換して、相手にビデオ通話で顔と下半身を見せた。その後、「画質が粗いから他のアプリでしよう」と言われ、指示された別のアプリを入れたら、登録していた連絡先が盗まれ、相手から録画された動画も送られてきた。下半身の写った動画が流されないか心配。」
相手に言われたアプリは公式マーケット以外から入れたもので、登録していた連絡先が盗まれてしまいました。動画をもとに脅されてお金を取られることもあります。

少なくとも、公式マーケット以外からは絶対にアプリを入れないことです。抜き取られた情報は回収不能です。他に転送され、詐欺連絡や迷惑メール送信などに悪用される場合があります。

2017.7

コミュニティサイト・SNSの現状

◆自分に合ったSNSの設定が大切

SNSには、LINE、niconico、Facebook、Twitter、Instagram、YouTubeなどがあり、最近ではMastodonが話題になっています。

SNSの利用は基本、無料ですが、公式マーケット上で年齢制限のかかるものもあります。例えばTwitterは、17歳以上と決められています(iPhoneの場合)。 安全に利用するには、適切な設定をすることが大切です。

大きな設定としては、「公開制限」(自分の情報や発信した情報をどこまで公開するかの設定)と「検索制限」(サービス上で自分を見つけてもらうかの設定)があります。初期設定が自分に合っているとは限らないため、こうした制限をかけていくことがセキュリティの第一歩になります。

ネットは危険が多い

◆高校生のネット被害の実態

警察庁「平成28年における出会い系サイト及びコミュニティサイトに起因する事犯の被害児童数の推移」(児童:18歳未満)によると、コミュニティサイトに起因する事犯の被害児童数は1,736人で、平成20年以降は増加傾向にあります。1,736人の約9割はスマホで、その約9割はフィルタリングを利用していませんでした。被害時の年齢は、15歳~17歳を合わせると、67.9%に上ります。

Twitter、LINEのIDで見知らぬ人とつながってしまい、被害に遭うことが増えていると推測されます。そのためTwitterは制限年齢が上がり、LINEは「知らない人とつながらないで」と再三にわたり啓発しています。SNSは使い方を誤ると被害に遭うということが数字からも分かるかと思います。

2017.7

SNSなどの利用マナー

◆「他人の権利を大事にする」は見落とされがち

・他人の悪口を書かない。
・他人の権利を大事にする。
・必要以上の個人情報は公開しない。

これらはごく基本的なマナーですが、どのマナー違反が最も多いでしょうか?
他人の悪口を書かないことや必要以上の個人情報を公開しないことは、ある程度子どもたちにも浸透していますが、他人の権利を大事にすることは抜け落ちやすい傾向があります。

例えば友達を写真に撮って許可なくネットに上げてしまう、ということがよくあります。友達本人は「いいよ」と言っていても、保護者の方からクレームが来ることもあります。

「送信」を押す前に、一瞬考えて、未来を予測しましょう。これだけで防げるトラブルがあります。簡単に言うと、公共の場にある看板に書けないことはネットで書かないようにということなのですが、どうしても反射的にすぐ「送信」を押してしまうということがあるようです。そこを「送って大丈夫かな?」と5秒考えるだけでも変わってくるのかなと思います。

SNSにアップする時の注意点

◆アップする前に考えること

・みんなで遊びに行ったときに撮影した集合写真
写っている全員に肖像権がありますので、全員に許可を取る必要があります。

・通行人や街路樹など街中の風景を撮影した写真
例えば休日の銀座の歩行者天国のように大勢の人がいる中で自撮りをしたら、通行人が必ず写ってしまいます。ネットにアップする場合は、写り込んでいる他人にも配慮しモザイクをかけるなどする必要があります。また、街路樹からでも撮影場所が特定できることがあるので、そのことを認識したうえでネットに上げるかどうかを考える必要があります。

・芸能人を見かけて何をしていたかという話
炎上する可能性があります。

・店で万引きしている人を見つけたので撮影した動画
ネットで公開するのではなく、警察に通報する、店に持っていくなどしましょう。

・被災地で襲撃事件が起こっているという書き込み
デマかもしれないので、出所が正しいかどうか確認しないでアップするのは避けたほうが良いかと思います。

個人は特定できる

◆ネットへの書き込みは慎重に

犯罪や自殺の書き込みは警察が介入するため出所が特定される場合があります。そうでなくても、毎日情報を発信していれば、学校名や学年などは特定される場合があります。

匿名だからといって、ネットで何を言っても大丈夫でしょうか。ネット上には、個人を特定してさらす人たちがいます。

ネットでは簡単に加害者にも被害者にもなりえます。公開された情報の削除はそれほど難しくはなく、削除要請をすれば多くの場合情報を削除できます。

しかし、すべてが消えるとは限りません。問題は、消すことができるかどうかではなく、情報が一生残ることです。つまり、ネットに一度でも上がった情報は誰かが複製している可能性があり、この先もいつ出てくるかわからないということです。

◆ネット上のトークも安心できない

ネット上でトークしていただけたから、というのも安心できません。このような事例があります。

「グループ内トークでシェアしていた、クラブ活動で撮影した体操着写真を、けんかしたグループ内の友達が外部のマニアサイトに学校名付きで貼ってしまった。学校に匿名の電話があり気づいた。」

けんかしても仲直りはできますが、外部のサイトに貼った写真を取り戻すことはできません。内輪で見ているものだから大丈夫、ではないということです。

ハダカは“絶対”撮らない

◆SNSで知らない人とつながらない

このような相談事例もあります。

「無料通話アプリのID交換で『同級生』として知り合った人からハダカと顔の写真が送られてきた。私のも送るようにと言われ撮影して送ったところ、連絡が取れなくなった。」

「無料通話アプリで男性とつながりハダカの写真を送ったら、学校に知らせると脅されて、別のSNSからさらに写真を送るように言われている。」

まず、ネットでは知らない人とつながらないことが重要です。そして、「ハダカは絶対に撮らない」こと。撮影すると保管されてしまい、保管されると漏洩する危険があります。写真そのものを撮らないことが大切です。

警察庁の資料によると、自画撮り被害はコミュニティサイトに起因するものが8割とされています。SNSでつながった人に「ハダカの写真を送って」と言われて送ってしまったという被害です。児童ポルノ事犯の被害者数は平成28年上半期に過去最多になりました。

ネットストーカーによる被害

◆ネットで個人を特定される情報公開はしない

次のような事例も発生しています。

「ネットゲームで知り合った人とSNSやメールでやり取りしていた。大規模災害の影響で疎遠になった後も大量のメールを送ってくるので、やめるよう強く言ったらエスカレートするようになった。脅しともとれるメールが届き、さらに自分の個人情報を公開すると言われ、実際、自分になりすましたブログが勝手に開設されている。」

「SNSで知らない人から友人申請があり承諾したところ、一方的にメッセージを送りつけてくるようになった。怖いので無視していたら、「付き合っているのだから返事をよこせ」「お前の悪い噂を流してやる」と言うようになり、SNSでつながっている友人たちに私の情報を聞き回っている。なぜこんなことをされるのかわからない。」

ネットストーカーは、見ず知らずの人がなることも多いので、ネットで個人を特定されるような情報公開は控えましょう。

情報管理意識を持つことの重要性

◆ラインアカウントの乗っ取りに注意

「ある日、LINEで友達から「携帯電話番号を教えて」という連絡が来た。友達なので改めて教えたら、「SMS(ショートメッセージ)で認証番号が届くからそれも教えて」と言われ、教えた。」

さて、この後、この人に何が起こったでしょうか?
これは昨年秋くらいから増えている相談事例で、何が起こるかというと、LINEのアカウントが乗っ取られます。LINEは電話番号で本人確認をするので、電話番号にSNSで認証番号を送ります。その番号を他人に教えてしまうと、電話番号と暗証番号がわかることになり、アカウントを乗っ取ることができてしまいます。

アカウントが乗っ取られると、自分の名前で勝手に広告を出されたり、買い物されたりといった悪さをされてしまうかもしれません。

この事例の場合、友達から連絡が来たということですが、友達のアカウントがすでに乗っ取られていると考えられます。

個人を特定する番号など、人には絶対に教えてはいけないものがあるということを知っておかなければいけません。情報管理意識を持つことが大事です。

2017.7

オンラインゲームの現状

◆オンラインゲームで課金される場合

オンラインゲームは難しい操作なしに楽しく遊べるゲームで、液晶画面を直接操作するパズルゲームが人気となりました。

オンラインゲームを始める前に知っておきたいことがあります。

スマホなどで遊べるゲームは、基本、無料です。ただし、強くなるための道具(アイテム)は課金制であり、タダではありません。それも、例えば300円払えばすぐに得られるというわけではなく、「ガチャ」というくじ引きで引き当てるようになっていることが多いです。

◆課金制「ガチャ」のしくみについて

この「ガチャ」は、街にあるカプセルトイの「ガチャガチャ」とは仕組みが違います。街にあるガチャガチャは、機械の中に100個カプセルが入っていて、その中に1個当たりがあるとしたら、少なくとも100回まわせば必ず当たりが出てきます。

しかし、オンラインゲームのガチャは、例えば1%と表示されていても100回まわせば必ず当たりが出るわけではありません。都度リセットされるので、100個入っているガチャガチャを毎回新しくして回す、と考えてください。

◆オンラインゲームで「所有権」は得られない

また、オンラインゲームでどんなにお金を使ってアイテムを買っても、得られるのは「利用する権利」であって「所有権」ではありません。ゲームそのものが廃止されたり、退会したりすれば、すべて消えてしまいます。これは電子書籍や、オンラインで購入した音楽も同じです。また、要らなくなった本は売ることができますが、デジタルコンテンツは転売することができません。

それでも、「これだけアイテムをそろえたのだから」と、なかなかやめられない人が多く、高校生や保護者からは「ゲームで高額の課金をしてしまった」「いくらお金を使っても良いアイテムが出ない」「アカウント停止」などの相談が寄せられています。

オンラインゲーム等で犯罪に発展するケースも…

◆オンラインゲームの相談事例

「ゲームで知り合った人が持っているアイテムが欲しくて、自分の7つのアカウントを使ってアイテムを盗んだ。ゲームサイトのお知らせに「警察に通報する」と書かれてしまい、捕まって高校受験ができなくなるのではと毎日が不安でたまらない。本当に反省している。」

「友達から教えてもらったツールを使ってゲームをしていたら、ゲーム会社からアカウント停止措置を受けた。正直、たいしたことをしていないのに、このような対処は問題ないのか。」

他人になりすましてSNSでメッセージを送ったり、ゲームを遊んだり、アイテムを盗むのは、不正アクセスとして「犯罪行為」になる場合があります。

また、チートツール(ゲームを有利に進めるためのプログラム)の使用や販売は、ゲーム会社の利用規約違反とされていますが、「犯罪行為」ともなりえます。

◆ネットオークションに関する事例

「割のいいアルバイトを探し、ネットオークションで代理出品をした。もらった画像で代理出品し、依頼者の口座に振り込んでもらうとアルバイト代が支払われるというもの。しかし、依頼者は落札者に商品を発送せず、そのとばっちりがすべてこちらに来ている。アルバイト代も払われておらず、とんだ被害である。」

この方は16歳ですが、被害者でしょうか? 残念ながら、被害者はお金を振り込んだのに商品が届かない落札者です。落札者からすると、この方は詐欺師と手を組んで代理出品をした人であり、加害者側の人と見られてしまいます。

実際は、この方の親御さんが複数の被害者の方々に平謝りしました。「子どもがやったこと」と許してくれた人もいれば、許してもらえず、管理者である親御さんあてに訴訟を起こした人もいました。

子どもたちに詐欺の片棒担ぎはさせたくありません。「ラクして儲かるバイト」なんてない、ということです。

SNS・ネットによる広告・勧誘

◆ネット上の情報を鵜呑みにしない

グループに入ると情報が得られる「成功する方法」、モデルのSNSで効果があるとつぶやかれている「化粧品」や「サプリメント」、「ちょっと儲かるアルバイトしない?」「タダでもらえるよ」など、十代の子たちが被害に遭うきっかけにSNSが悪用されていることがあります。詐欺の「受け子」になってしまう被害や、JKビジネスの被害も発生しています。

ネット上では、一見しただけでは広告や勧誘と分からないものも多くあります。例えば、レビューやまとめサイトの口コミがやらせや「ステマ(ステルスマーケティング:第三者のふりをして宣伝する行為)」だったり、自作自演の掲示板から詐欺サイトに誘導するものもあります。こうした悪質な手口や嘘の情報を見抜くことは大変かもしれませんが、ネット上の情報を鵜呑みにしてしまうことはネットリテラシーが低いということになります。

ネットは自由でありたい

◆ネットにおいても自由には責任が伴う

ネットの世界は、才能や能力があれば高校生でもビジネスが可能で、その影響力は世界級です。国籍や年齢・性別も関係なく、いろいろな意味で平等です。

今後のネット社会を背負っていくのは子どもたちです。

制限を受けない自由な世界か、規制の行き届いた監視世界か、ネットの世界はどちらが良いと思いますか?

ネットでは自由でありたいと思っています。ただし、自由には責任が伴います。自由で責任を伴わない世界は無秩序であり、かえって居心地が悪くなります。

自由でいたいなら、自分のやることに責任を持ちましょう。小さな失敗は経験ですが、判断を間違って問題を起こせば、子どもでも大人と同じ社会的制裁が待っています。ネットでは「子どもだから」などと考えてくれないので、リアルより怖い制裁が行われ、その情報は一生残ります。

◆ネットを利用する際はバランス感覚が大事

スマホやネットは便利な道具だけれど、使い方次第で自分や人を傷つける道具にもなります。

昔は「マンガばっかり読んで」「テレビばっかり見て」と親に叱られたものですが、今は「スマホばっかりやって」となるのでしょうか。ただ、マンガやテレビとスマホでは、情報量が圧倒的に違います。スマホの使い方についてはマンガやテレビ以上に考えることが必要ではないでしょうか。道具に振り回されないバランス感覚が大事かもしれません。

◆困ったときは相談を

もし、困ったときにはご相談いただきたいと思います。今日お話しした事例では、ご相談いただくことで解決できることもたくさんあります。

インターネットホットライン協議会のホームページに、情報提供・相談窓口の一覧が紹介されていますので、参考にしていただければと思います。

本日はありがとうございました。

2017.7

高校生の消費生活と生活設計に関するアンケート調査報告

生命保険文化センター

〈1〉消費生活分野

〈2〉生活設計分野

この調査は、高校生の普段の生活行動から消費者としての側面、生活設計に対する考え方を明らかにすることを目的として、平成24年度に第1回調査を実施しました。今回の調査は4年ぶり2回目となります。このたび本調査について調査報告をまとめましたので、結果の概要を〈1〉消費生活分野、〈2〉生活設計分野に分けてご報告します。

調査の概要

(1)実施主体
公益財団法人消費者教育支援センター
公益財団法人生命保険文化センター

(2)調査地域
全国

(3)調査対象
高等学校1年生、2年生、および3年生
調査は高等学校1年生と2年生として依頼したが、結果的に3年生のサンプルが含まれていたため、それも含めて集計を行った。

(4)抽出方法
二段無作為抽出法
「全国学校総覧2012年版」掲載の国公私立の高等学校(分校、定時制等も含む)から等間隔に無作為抽出した663校に対し、郵送で各校約40人に対し調査を依頼。そのうち、83校から承諾があり、担当教諭に対し調査票を一括送付した。

(5)調査方法
質問票によるアンケート調査(郵送調査法)

(6)調査時期
平成28年7月

(7)サンプル数
3,153
なお本調査に先立ち、平成28年3月に高等学校4校(189人)に対して予備調査を実施し、調査票の検討を行った。また調査対象校のうち10校に対してヒアリング調査を行った。

〈1〉消費生活分野

報告者/消費者教育支援センター 研究員 野中奈美

Ⅰ.日常生活について

◆興味があること

前回調査の選択肢に、新たに今回は「音楽」「アニメ」「インターネット」の3項目を追加して調査しました。その結果、これら3項目が比較的上位に入ったことから、その他の多くの項目で減少傾向がみられました。

特に「友達付き合い」は、男子▲16%、女子▲19.7%と大幅に減少しました。一方、女子の「SNS」は前回調査に比べ+19.4%と大幅に上昇したのが特徴的です。

2017.7

◆授業以外の時間の過ごし方

前回調査と比較して、変化が大きかった項目について挙げます。
まず減少したものですが、男子「友人と話をする」、女子「マンガや雑誌を読む」が大幅に減少しています。

一方、増加傾向にあるのが女子「携帯・スマホでメールやSNSをする」、女子「家族と話をする」で、いずれも大幅に増加しました。友人や家族と話をする女子が増加傾向にある一方で、男子は減少傾向にあり、性別により差がみられました。

2017.7

Ⅱ.お小遣い、アルバイト等のお金について

◆お小遣いの有無

今回調査で「定期的にもらっている」は5割強で、前回とほとんど変わっていません。「定期的にもらっている」「その都度もらっている」を合わせた、お小遣いをもらっている割合は7割台半ばで、これも前回とほぼ変わりありませんでした。

また、1カ月にもらっている金額は、前回平均値が4,585円、今回は359円増加して4,944円という結果になりました。

2017.7

◆貯金の有無について

「目的をもってお金を貯めている」「目的はないが、お金を貯めている」を合わせた、お金を貯めている割合は、今回調査で64.3%と、前回調査との大きな差はみられませんでした。

「目的をもってお金を貯めている」割合について性別で比較すると、前回調査では性別による差はありませんでしたが、今回調査では女子のほうが7.4%高いという結果になりました。

「目的をもってお金を貯めている」人に貯金の目的を自由回答で聞いたところ、多いものから順に「欲しいものを買うため」、「将来のため」、「遊び・旅行のため」となりました。

2017.7

◆お金の管理 お小遣い帳等の記録

お小遣い帳等の記録を「つけている」、「ときどきつけている」、「以前あるが、今はつけていない」を合わせた、お小遣い帳等の記録の経験に注目したところ、前回・今回ともに約4割と、ほとんど変化はみられませんでした。また、性別では、女子のほうが男子より2割ほど高いという結果になっています。これも前回と変わらない傾向です。

2017.7

Ⅲ.「消費・契約」について

◆欲しいものがあるとき、参考にする情報

「欲しいものがあるとき、参考にする情報源は何か」という質問を今回調査で新たに加えました。その結果、男女ともに上位3項目は、「インターネット・SNS」、「友達からの話」、「テレビ」の順でした。「インターネット・SNS」は特に高く、男女とも約8割が参考にしているという結果でした。

その他、性別で差がみられた項目を挙げると、「保護者からの話」、「雑誌」は大幅に女子のほうが高くなりました。女子は複数の情報を参考にしているという結果になったのに対し、男子は上位3項目に集中する傾向がみられました。

2017.7

◆買い物の傾向

「とてもあてはまる」、「ややあてはまる」を合わせた、「あてはまる傾向」に着目して前回調査と比較しました。

変化がみられたのは、「品質よりも見た目で買う方だ」、「買い物のために情報収集をする方だ」、「偽ブランド品であっても本物とそっくりであれば買う方だ」の3項目です。

「品質よりも見た目で買う方だ」は前回に比べ6.9%減少、「偽ブランド品であっても本物とそっくりであれば買う方だ」は前回に比べ5.1%減少しました。

「買い物のために情報収集をする方だ」は6.5%増加しました。

品質よりも見た目で買う、偽ブランド品でも本物とそっくりなら買うといった傾向の割合が前回より若干ですが減少していることから、高校生の消費生活に対する意識は、前回調査時よりも高まっているのではないかと推測できます。

2017.7

◆「契約の知識」正答率

これは「契約の知識」についての正誤問題でした。

「有料アプリのダウンロードは契約」は男子56.8%、女子62.2%と、男女ともに最も高い正答率となりました。

次いで、「ネット購入はクーリング・オフ可」の正答率は、男子52.6%、女子57.8%と、インターネットに関する問いで比較的高い正答率となりました。

「契約は口約束でも成立する」、「契約に契約書は必要である」といった、契約成立の基本的な知識を問う項目では、正答率が3割前後となっています。

今回、契約の知識についての質問を初めて行いましたが、特に契約成立の基本的な知識を問う項目で正答率が3割前後にとどまっていたことから、今後民法改正により成人年齢が引き下げられた場合、消費者トラブルが深刻化することが懸念されます。18歳までのこの分野における学習が、今後は非常に重要になってくると思われます。

2017.7

Ⅳ.携帯電話・スマートフォン・パソコン利用について

◆携帯電話・スマートフォンの利用目的

24年度の前回調査では、男女ともに1位だった「メールをするため」は、今回男女ともに大幅に減少しました。一方、今回調査で男女ともに1位だった「SNS」は、男女ともに今回大幅に増加しています。これらの大幅な増減は、以前はメールで行っていた友人とのやり取りを、今はSNSを中心にやり取りするように変化したことが大きな要因と考えられます。

その他、性別で差がみられた項目を挙げると、「ゲームをする」は男子のほうが高く、「写真を撮る・加工する」は女子が高いといった違いがみられました。

2017.7

◆インターネットでの購入経験

前回調査との比較では、「買ったことがあるがほとんど買わない」の割合が9.1%増加しています。また、「買ったことがない」の割合は11.2%減少しています。インターネットでの購入経験が前回に比べ1割ほど増加していることがわかりました。

インターネットでの購入経験が「ある」と答えた人に対して何を購入したかを聞いた質問では、男女ともに1位は「洋服や靴」でしたが、その割合は男女で大きく異なり、女子の方が20.6%高い結果になりました。

その他、性別により違いがみられた項目がいくつかありました。「アプリのダウンロード」、「ゲームソフト」は男子の方が大幅に高く、「DVD・CD」、「映画やコンサートのチケット」は女子の方が大幅に高い結果になりました。このように、インターネットで購入するものは性別により大きく異なっていることが分かりました。

2017.7

【消費生活分野 おわりに】

この分野では性別により異なる結果が多くみられたことから、前回調査との比較に加えて性別による比較を中心にご報告しました。なお報告書には学年別の結果も掲載していますので、そちらもぜひご覧ください。

〈2〉生活設計分野

報告者/生命保険文化センター 生活情報室 主任 高須周作

Ⅴ.将来について

〈2〉生活設計分野は、アンケート調査の「Ⅴ 将来について」を①「進路や将来」に関する項目、②「結婚や子ども」に関する項目、③「リスク管理」に関する項目の3つに分けてご報告します。

①「進路や将来」に関する項目

◆将来就きたい職業があるか

「将来就きたい職業があるか」という項目では、全体の6割台半ばが「決めている」と回答しました。

「決めている」と答えたのは、学年別では3年生が突出して多くなったのですが、1・2年生では大きな差はみられませんでした。 性別では、女子のほうが「決めている」と回答した人が多く、男女差がみられました。

2017.7

◆将来就きたい職業〈学年別〉

将来就きたい職業の上位3位をみると、公務員、会社員、保育士・幼稚園教諭などに人気が集中しています。

学年が上がると増加がみられた職業は、会社員・事務員・秘書、接客業・営業・販売、建築士・測量士・大工・左官等です。逆に学年が下がると増加がみられたのは、芸能人、スポーツ選手などです。

2017.7

◆将来就きたい職業〈性別〉

性別では大きな違いがみられ、男女それぞれまったく異なる職業に人気が集中しています。

男子は上位から「技術者・整備士」、「プログラマ・システムエンジニア」、「建築士・測量士・大工・左官等」、「警察官・海上保安官・消防士」、「製品製造」の順となりました。

女子は、「保育士・幼稚園教諭」、「看護師・歯科衛生士」、「調理師・栄養士」、「理容師・美容師・エステティシャン」、「デザイナー・画家・写真家・作家等」の順になりました。

2017.7

◆卒業後の進路〈学年別〉

卒業後の進路については学年別では大きな差はみられませんでした。半数近くが「大学に進学する」と回答しています。

2017.7

◆卒業後の進路〈性別〉

性別では、比較的差がみられました。女子は「専門学校」「短大」が多く、男子は「大学」「就職」が多い結果となりました。

2017.7

◆高校卒業後の進路について親と話すか

「高校卒業後の進路について親と話すか」の質問には、全体の7割が「話す」、「ときどき話す」と回答しています。
学年別では、学年が上がるごとに親と話す割合が高くなっていきます。
性別では、女子のほうが高い結果となり、「将来就きたい職業を決めているか」の結果と似た傾向があります。

2017.7

②「結婚や子ども」に関する項目

◆結婚願望

「結婚したいですか」という質問には、全体の7割が「結婚したい」と回答しています。
学年ではあまり差はみられなかったのですが、性別では女子のほうが6.4%とわずかですが高くなりました。
結婚希望年齢は、全体で25歳と、学年や性別による差はみられませんでした。

2017.7

◆結婚したくない理由

先の質問で「結婚したくない」と答えた人にその理由を聞きました。これは前回調査にはない新規の項目です。
学年別・性別ともに「自分の自由な時間がなくなるから」が最も多くなりました。
学年や性別で差がみられた項目を挙げると、学年別では「なんとなく面倒だから」と「家族を持つと大変そうだから」が、学年が上がるにつれ増加しました。性別では、「家族を持つと大変そうだから」が約10%、「金銭的に余裕がなくなるから」が約26%男子のほうが多いという結果となり、男女差がみられました。

2017.7

◆(子どもが生まれてからの)将来の働き方

子どもが生まれてからの働き方については、「育児休暇を取り、職場に復帰する」の割合が全体で最も高く、学年別による差はあまりみられませんでした。しかし、性別でみると、育児休暇を取ると答えた男子は女子に比べて少なく、男子は「育児に関係なく働きつづける」と答えた割合が53.1%と最も高くなりました。男女差がかなりみられた項目です。

2017.7

③「リスク管理」に関する項目

◆将来の不安なこと〈学年別〉

「将来の不安なことは何ですか」という質問に学年別の差はあまりみられず、多くの人が高校卒業後の進路や就職など近い将来に不安を抱えていることがわかりました。結婚や老後など、遠い将来についてはあまり不安に感じていない傾向があります。

2017.7

◆将来の不安なこと〈性別〉

性別でも同様で、「就職」や「卒業後の進路」の割合が上位となり、顕著な差はみられませんでした。

2017.7

◆将来が思い描ける年齢

7割近くの人が「まったく想像できない」「高校卒業後まで」「20歳まで」のいずれかに回答しており、「将来の不安なこと」との整合性がみられます。

◆ 万が一のことに備えるための手段について親と話すか

「万が一のことに備えるための手段について親と話すか」については、多くの人が「あまり話さない」「まったく話さない」と回答し、学年別や性別による差はみられませんでした。

2017.7

以上で平成28年度 高校生の消費生活と生活設計に関するアンケート調査報告を終わります。