2020(令和2)年7月31日に厚生労働省から公表されました「令和元年簡易生命表」によりますと、日本人の平均寿命は女性87.45歳、男性81.41歳ということで、これは、女性が7年連続、男性が8年連続で過去最高を更新したことになります。
人生100年時代といわれる長寿化の中、70歳まで働く機会を確保する企業の努力義務が必要となる一方で、自助努力による若いときからの長期にわたる老後に向けた資産形成を目的とした「確定拠出年金(DC: Defined Contribution pension)」制度が主に2022(令和4)年4月から改正されます。

確定拠出年金制度は、毎月一定金額を定期的に積み立て(掛金の年間拠出限度額があります。*1)、その運用結果しだいで受給額が変動する自己責任型の年金制度です。この制度には、企業が従業員を対象に運営するものと個人で任意に加入するものなど、幾つかの種類*1があります。ハイリスク・ハイリターンあるいはローリスク・ローリターンといった資産(積立金)運用のスタイル(自身で選ぶことになっています。)などによってそれなりのリスクを伴いますが、公的年金制度を補うものとして掛金や積立金の運用収益、受給額に対して所得税や住民税が優遇されて*2います。

*1確定拠出年金制度の種類と掛金の年間拠出限度額
(1)企業型確定拠出年金(簡易型を含む) ・原則20歳から65歳未満までの厚生年金保険の被保険者(会社員など)が加入できる制度です。 ・企業が掛金を拠出し、加入者(従業員)自身の責任で運用し受給します。
(従業員も会社と一緒に掛金を拠出するマッチング拠出もあります。)
・年間の拠出限度額:その企業に他の企業年金制度がない場合66万円、ある場合33万円。 (2)個人型確定拠出年金(iDeCo) ・60歳未満の国民年金の被保険者が加入できる制度です。 ・自分自身が掛金を拠出し、自身の責任で運用し受給します。 ・年間の拠出限度額:81.6万円~14.4万円までの範囲内で自営業者、会社員、公務員、専業主婦(夫)、企業年金制度への加入の有無などよって拠出限度額が異なっています。 (3)中小事業主掛金納付制度(iDeCoプラス) ・企業年金制度を実施していない従業員100人以下(2020(令和2)年10月から300人以下の予定)の企業の従業員がiDeCoに加入している場合、労使合意のもとに、その従業員が拠出している掛金に追加して事業主も掛金を拠出できる制度で、従業員自身の責任で運用し受給します。
*2所得税・住民税の優遇措置
(1)自分自身で拠出する場合、掛金は全額所得控除(小規模企業共済等掛金控除)の対象となります。 (2)積立金の利息・配当・売却益などの運用益は全額非課税となります(課税の繰り延べ)。 (3)受給する年金は「公的年金等控除」、一時金で受給する場合は「退職所得控除」の対象となります。

今回の確定拠出年金制度の主な改正点は、
2022(令和4)年4月から、年金受給開始時期を現在の「60歳~70歳未満」を「60歳~75歳未満」までの間に選択肢を拡大する 2022(令和4)年5月から、加入できる上限年齢を引き上げる
企業型確定拠出年金の場合、現在の「65歳未満」を「70歳未満」まで
個人型確定拠出年金(iDeCo)の場合、現在の「60歳未満」を「65歳未満」まで(会社員で60歳以降も厚生年金に加入している方、任意加入で60歳以降も国民年金に加入している方(任意加入被保険者)が対象となります。)
2022(令和4)年5月から、退職した場合、企業型確定拠出年金に積み立てた積立金を通算企業年金*3へ移換可能とする といったものです。なお、既に受給を開始された方や公的年金を65歳前に繰上げ請求された方は、加入要件を満たした場合であっても、再加入することができなくなりましたので注意が必要です。

*3「通算企業年金」とは、企業年金連合会が退職者向けに運用する年金の一つです。

プロフィール

田村 三雄(たむら みつお)

社会保険労務士、ファイナンシャル・プランナー。田村社労士・CFP事務所代表。
官公庁・労組等での年金制度を中心とした講演や企業での労務相談、ライフプランセミナーの講師、執筆活動などを行っている。
趣味は映画観賞と散歩。

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