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生命保険文化センタートップページ>学校教育活動>教育の現場から>教育の現場からINDEX>web.04
【中学校社会科向け教材】
保険会社って何をしているの?
web.04
下線
(2020.03)
渋谷区立上原中学校
伊藤 郷 先生
 

授業概要

◇実施日 : 2020年1月16日(木) 3校時 10:45~11:30(50分)
◇実施校 : 渋谷区立上原中学校 
◇授業者 : 伊藤 郷
◇学年 : 3学年
◇教科 : 社会科(公民的分野)
◇ねらい 人生100年時代のリスクと社会保障制度の課題を理解した上で、自助・共助・公助の適切な組み合わせの 重要性を踏まえ 、望ましい「自助」の在り方について考え、人生設計に関心を持つ。
自助努力の1つである民間保険の価値について主体的に考察し、その価値をキャッチコピー形式で表現する。
◇授業タイトル 人生100年時代のリスク社会を生き抜くために!「自助」のカギ、民間生命保険のCMをつくろう!

上原中学校がある渋谷区では、小中学校の児童生徒1人1人にタブレット端末が貸与され、「いつでも、どこでも活用できる」環境を整えられています。本授業でもタブレット端末を使った授業が実施されました。

新学習指導要領における位置付け

<新学習指導要領における位置付け>
2021年度から完全実施となる、新しい中学校学習指導要領では、社会科(公民的分野「B 私たちと経済」「(2)国民の生活と政府の役割」)において社会保障について学ぶ際に、「民間の保険」についても併せて学ぶこととなりました。「自助、共助及び公助が最も適切に組み合わされるよう留意すること」という記載が(中学校学習指導要領解説社会編P148)にあります。この改訂を踏まえた移行措置における先取り学習として本授業が実施されました。

授業を実施して 渋谷区立上原中学校 主任教諭 伊藤 郷

この授業で工夫した点は終末にパフォーマンス課題を設定したところです。知識をもとに思考・判断した上で表現する学習を通して、民間保険の意義や役割についてより深いレベルで考えてもらいたかったからです。中学生が民間保険を知る一番の機会はCMではないか?と考え、CMのキャッチコピーを考えるという課題を設けました。コピーを提案できるまでには「どの保険にするか?」「どんな訴求ポイントがあるか?」などを自分なりに理解することが求められます。また「学習記憶の継続」もねらいの1つです。自分やクラスメイトがつくったキャッチコピーが記憶に残れば、今後思い出すこともあるでしょう。「民間保険に関する知識が1つ増える授業」ではなく、コピーを作りながら民間保険の価値に気づくような授業を構想しました。実際に生徒が作ったコピーの中には「そこまで言い切るか!?」と周囲からツッコミが入るものもあれば、「お?すごい。」とどよめきが起きるものもありました。思わず笑ってしまうインパクト重視のコピーもありました。
「このコピーにした理由」と「学習感想」からは、この学年の生徒達の学びの深さが、「コピーそのもの」からは豊かな発想力が見られ、3学年の生徒達は自分達の良さや成長にも気づくことができたのではないでしょうか。課題を挙げるならば、生徒が主体的に調べる学習時間の確保です。もう1単位時間を確保できれば、生徒は1人1台のタブレット端末を駆使して、各種保険の特性や長所短所などの知識を獲得し、より高次の学びになったはずです。生徒達には今回の民間保険の学習をきっかけとして、人生100年時代を生き抜く上で不可欠な人生設計・マネープラン・リスク管理などに関心を持ち、知識・技能を学び続け、よりよい未来を手繰り寄せてほしいと願っています。

授業の流れ

【導入】4分

時間 学習形態 学習活動(授業の流れ) 指導上の留意点
0:00 一斉
抗議
リスク社会を良く抜くために何が必要かを考える
(先生) 今日は社会保障の続きの授業です。次の新しい教科書に載るテーマで授業をします。
人生100年時代!リスク社会を生き抜くために
「これからの日本」について整理・共有を図る。
PPT-1
(先生) 今これまでの社会科授業で「これからの日本がどうなっていくか」ということを考えてきました。超少子高齢化が進むこと、老後は公的年金だけでは足りないのではないかという心配、人生のリスクなども学びました。今日の授業ではさらに2つのことを学びます。1つは「人生設計について」、もう1つは「民間生命保険について」です。まずはこれまで学んできたことを整理してみましょう。 教師の発問に答えながら、人生には多くのリスクがあり、社会保障制度も改革を求められていることを知る。
PPT-1
1:30 (先生) ここでクイズを出題します。「女性の2人に1人は○○歳まで生きる」ここに入る数字はいくつだと思いますか?周囲と相談して考えてみてください。 高齢化社会の現状を把握させる。
(生徒) →93歳、88歳など複数の予想を挙げる。
(先生) 正解は90歳です。さらに16人に1人は100歳まで生きるそうです。男性もこれに近い数字が出ています。これほど長生きだと、当然これまでの人生設計では対応できない可能性もあります。
PPT-1
(先生) ちなみに人生の三大出費と言われる「―斬雹餠癲↓教育資金、O係綮餠癲廚盥佑┐詆要があります。人生100年時代と言われるこれからの時代は、人生設計(マネープラン)とリスク管理を考えることがより大切になっていくでしょう。

【展開1】民間保険について知ろう 7分

時間 学習形態 学習活動(授業の流れ) 指導上の留意点
3:40 一斉
抗議
「自助」の貯金と民間生命保険の違いを知る
(先生) さて、今日の授業のテーマは「人生100年時代のための実学」ですが、「こんな時代だからこそ、自助・共助・公助が大切だ」ということを社会保障の授業で勉強してきましたね。
PPT-1
(先生) 公助とは、国による社会保障のことでしたね。自助として備えるための代表的なものが貯金と民間保険です。
PPT-1
(先生) では、「貯金だけでもカバーできるのでは?」と思っている人はどれくらいいますか?手を挙げてみてください。
(生徒) →ひとりも手を挙げない。
(先生) 1人もいませんね。
民間保険の重要性については理解しているようです。もう少し詳しく説明していきましょう。まず、民間保険は、大まかに’金保険、医療保険、2雜酳欷院↓せ猖簡欷韻箸い4種類に分類されます。
年金保険は、公的な年金をフォローする老後のための保険ですね。医療保険は国民健康保険だけではカバーできない大きい病気や怪我をしたときに必要なものですね。また同時に複数の病気にかかってしまった場合のサポートにもなります。そして介護保険は、寝たきりになったり、ヘルパーさんを頼むような状況になったとき、あるいは老人ホームに入る際にはまとまったお金が必要になる、そのような場合をサポートする保険です。最後は死亡保険、自分が亡くなった後、家族のためにお金を残せる保険ですね。
7:00 |金について知る
(先生) では次に、貯金と民間保険の違いについて考えてみましょう。
両者の違いを表すこんなキャッチフレーズがあります。
「貯金は三角、保険は四角」
PPT-1
(先生) これはどんな意味でしょう?
貯金の場合は、年齢が上がるごとに額が増えていくので、グラフは三角のような形になりますね。一方、民間保険は、加入したらその瞬間から手厚い保障が受けられるので、グラフは長方形のような形になります。貯金は、使い途が自由であることが利点ですが、貯金を始めたばかりの若いうちに何かが起きてしまうとお金がないというデメリットもあるということなんです。
貯金だけの場合、さまざまなリスクがあることに気づかせる。
大リスク(貯金額を超えるリスク)
早期リスク(貯金開始直後のリスク)
同時多発リスク(自分だけでなく家族も病気に!)
8:45 ¬唄崟弧進欷韻砲弔い特里
(先生) 保険と一口に言っても多種多様です。
PPT-1
(先生) たとえば、貯蓄性が高い保険、健康ならボーナスを支給する保険、 ガンになったらその後の保険料は不要だがその後のサポートは続くという保険。
いろいろなタイプがあることも覚えておきましょう。
(先生) 若いとき加入するのと中年になってから加入するのでは、保険料が安く済むのはどちらでしょう? 保険について早く知っておくことが大切だということに気づかせる。
PPT-1
(生徒) →30秒ほど隣席と相談
→生徒達に挙手させた結果、大多数が若者と回答。
(先生) あくまで一般的な話ですが、若いときのほうが有利です。若者のほうが病気にかかりにくいからですね。自動車保険は、若者のほうが事故を起こしやすいので保険料が高い、その逆ですね。
ただ、今すぐ皆さんに民間保険が必要とは言えません。
では、「いつ」がいいのか・・・
これも一般的にですが、「就職・結婚・子供が生まれたとき」この3つが検討時期といわれてます。
10:00 L唄崟弧進欷韻涼躇嫖
PPT-1
(先生) 加入のタイミングが訪れたら…
当然のことですが、何でもいいというわけではありません。
慎重に考えてから加入するようにしましょう。
複数を比較検討する。加入後も定期的に見直す。親などに相談する。など多面的・多角的に考えるようにしましょう。
最近は、複数の保険を比較検討できる店舗や窓口も増えていますから、そういう場所も活用するといいですね。
日頃から、この問題に対してアンテナを高く張り、自分から情報を取りに行く姿勢を持てるといいですね。

【展開2】保険会社について知ろう 2分

時間 学習形態 学習活動(授業の流れ) 指導上の留意点
11:20 一斉
抗議
保険会社が果たしている社会的な役割について理解する
(先生) では次に、保険商品を作っている保険会社にはどんな役割があるのかな?という視点で見ていきましょう。
まず一つ目は金融機関としての役割。間接金融の主役として、社会や経済を支えているというわけですね。
PPT-1
(先生) もう一つは、企業の社会的責任として啓蒙活動などを行う役割です。
PPT-1
(先生) こういった活動をアルファベット3文字で何と言いますか?
(生徒) →なかなか回答が出てこない。
(先生) 「CSR」です。多くの保険会社ではCSRの一環で学校へ赴き出張講座などを行っています。次世代の人生を豊かにするための授業を行う、そんな役割も担っています。
ここまでが民間生命保険に対する知識・理解となります。

【展開3】民間生命保険のコピーを考えよう 30分

時間 学習形態 学習活動(授業の流れ) 指導上の留意点
13:20 個人
ワーク
CMプランナーになりきり、民間生命保険のコピーを考える
(先生) それでは、これまで学んだ内容をもとに、パフォーマンス課題を通して、さらに考えていきましょう。
民間生命保険は社会に対してどんな役割があるのか、どんな存在なのかを考えてみましょう。
PPT-1
(先生) そしてさらに踏み込んで、保険に全く関心のない中学生・高校生向けのCMのキャッチコピーを作ってみましょう。保険全般でも、4つのカテゴリー(年金、医療、介護、死亡)から選んでも大丈夫です。
流れは、まずは個人でゆっくり考えましょう。その後、3?4人グループで意見交換の時間を取ります。そして最後は、個人で考えてもいいし、移動して好きなグループで作りあげても構いません。
そして最後は、先生の方でスクリーンに映し出して紹介します。

ここで他クラスの例を紹介します。
→既に授業を実施した他クラスでの例をいくつか紹介。
(先生)
PPT-1 PPT-1
PPT-1 PPT-1
18:00 PPT-1 コピー化が難しい場合は、作成意図だけでも記入させる。CMのように広範囲への発信を前提とし、より深い理解を促す
個人
ワーク
【個人】で考える(6分)
→タブレットで厚生労働省のホームページなどを閲覧させ、訴求のポイントを探らせる。
グループ
ワーク
【グループ】で意見交換(6分)
→生徒は1班4?5人(合計5班)に分かれる。
→自ら考えた内容を共有し、意見交換をする。
個人or
グループ
ワーク
【個人・グループ(任意)】で考えをまとめる(6分)
情報共有
全体発表
【情報共有・全体発表】(5分)
→個人・グループとしての考えを発表。
→生徒のタブレット端末の画面を教室前方の大スクリーンに表示。

(生徒が考案したキャッチコピー抜粋)
・「貴方が贈る最初で最後のプレゼント」
・「家族のための最後のプレゼント」
・「意味のある死のために」
・「残そうよ、家族のために生きた証し」
・「鼓動が止まる前に行動したらどうですか。今入らなきゃハイ(high)になれませんよ」
・あなただけのものじゃない。家族への最後のおくりもの
・生かしてくれて、ありがとう。
・ねぇ、君に何かあったらどうするの?〈いざという時のために君がするべきこと〉
・明るい未来のために出来ること
・YOU MAKE YOUR LIFE
・もしもを今考えろ
・なる前に入ろう!医療保険
【まとめ】 5分 PPT-1
(先生) 今日の授業は、きっかけです。
豊かな人生のために大切なのは、アンテナを高くし、人生設計に関心を持ち続けること!若いときから自助・共助・公助を意識して、人生設計(マネープラン)やリスク管理に関心を持ちましょう。

【終末】 5分

時間 学習形態 学習活動(授業の流れ) 指導上の留意点
45:00 個人ワーク
ふりかえり
本時の感想を書く
(先生) 今日の授業で「感じたこと・考えたこと・今後もっと調べたいこと」をタブレットに入力して下さい。
 →情報共有ソフト「コラボノート」上に記入。クラス全員の意見を教室前方の大スクリーンにて共有。
(生徒の感想抜粋)
・今日の授業を通して、とくに気にしていなかった保険についての理解が深まった。私は、保険の仕組みや種類がこんなにもあることを知らなかった。知らないまま大人になっていたら、よく分からないままに流されてしまい、うまく保険の仕組みを活用できなかったと思う。だから、成人するタイミングで詳しく分かりやすく保険についてレクチャーする場が必要だと思った。この授業を活かして、保険とかかわりたいと思った。

・今の社会で身近に存在している保険についてこの授業を通して深く知ることができた。保険会社のキャッチコピーを考えることによって保険をどのようにして知ってもらえるかを考えることができ、自分自身でも保険に関心を持つことができた。僕たちももう近い未来には大人になり、就職することになると思うので、保険についてより理解していきたいと思う。

・保険に対して深く考えたのは、初めてだった。よく考えてみると保険について知らないことが案外多かった。これを機にどんな保険があって自分に合っているのはどれかなど将来の自分のために考えたい。
 

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