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ESSAY エッセイ
税金

ミス見落とし、 住宅ローン減税(ローン控除) ポイント再確認

税理士法人 TOTAL代表社員 沓掛 伸幸

昨年12月、住宅ローン減税の適用ミスにつき税務署の見落としがあったことがニュースとなりました。この住宅ローン減税は、住宅ローンを利用してマイホームを購入等した際に利用できる制度で、利用者も多く、もっともなじみの深い減税制度と言えます。今回は、住宅ローン減税のポイントについて確認していきます。

1.概要〔2019年1月現在(注1)〕

住宅ローン減税は、年末のローン残高の1%が所得税額から控除される制度です。具体的な内容は以下のとおりです。

  消費税率8%または10%が適用される人
ローン残高の上限 4000万円〔5000万円(注2)〕
控除率 1%
控除期間 10年
最大控除額 400万円〔500万円(注2)〕

(注1)2019年度税制改正にて拡充予定。詳細は後記。
(注2)一定の要件を満たした住宅の場合(「長期優良住宅」・「低炭素住宅」)。

2. 誤りやすいポイント

(1)購入資金の贈与を受けた場合

父母や祖父母からマイホーム購入資金の贈与を受けた場合、一定の要件に該当すると最大3000万円まで贈与税が非課税となります(2019年4月以降の契約、10月以降引渡しで、消費税率10%で取得した場合)。例えば、父母から1000万円の贈与を受けた場合、通常177万円の贈与税がかかりますが、この制度の適用を受ければ贈与税額ゼロとなりますので、減税メリットが非常に大きいです。

ただし、住宅ローン減税との関連では注意が必要となります。この制度の適用を受けた場合、贈与金額を住宅等の取得価額から差し引くこととなっています。したがって、贈与金額+当初の住宅ローン金額≧住宅購入価格となる場合は、購入価格を超える金額が住宅ローン減税の対象外となり、控除額が減少します。

(2)マイホームを売却してその譲渡益につき特別控除を受けた場合

マイホームを売却した場合、購入当時より高く売れたときは、譲渡益が発生し所得税がかかります。ただし、一定の要件に該当すると、譲渡益3000万円までは非課税となります。近年は、住宅価格が安定しているためあまり出番のない制度ですが、この制度の適用を受けると原則として住宅ローン減税が受けられなくなります。したがって、マイホームを売却して、新たにマイホームを購入する場合は、この制度の適用を受けるか、住宅ローン減税の適用を受けるか選択することとなります。

(3)中古住宅などを購入した場合

中古住宅の個人間売買等、消費税が非課税となる取引では、控除額が最大年20万円とされます。住宅ローン減税は、新築住宅の控除限度額が注目されますが、中古住宅の場合は個人間売買も多くなり、控除額が最大年20万円となるケースが多いので注意が必要です。

なお、この住宅ローン減税は、2019年度税制改正にて拡充予定です。具体的には、消費税10%が適用される人は、控除期間が3年延長され13年となり、11年から13年目は、「年末ローン残高×1%(最大40万円)」、「建物購入価格(税抜・最大4000万円)×2%÷3」のいずれか小さい額が控除額となる見込みです。

住宅ローン減税は、マイホーム購入の大きな味方ですが、年度ごとに改正が多く注意が必要な制度です。マイホーム購入時には、じっくりと確認されることをお勧めします。

プロフィール

沓掛伸幸

沓掛 伸幸(くつかけ のぶゆき)

税理士法人TOTAL代表社員(税理士・医療経営コンサルタント・CFP(R))
一橋大卒、生命保険会社を経て2007年税理士法人設立。税理士・司法書士・社会保険労務士等が属するTOTALグループ全15拠点、スタッフ400名にて、法人、医療機関、相続の三分野の総合サービスを展開。