―要約―

税・社会保障制度改正による女性就業率変化の推計

原田裕介、木下美穂、永野博之、斎藤毅

本稿では、女性の就労を抑制していると思われる現在の税・社会保障制度、具体的には第3号被保険者制度、被扶養配偶者の社会保険料免除、そして配偶者特別控除を縮小または廃止した場合、女性の就労がどの程度拡大するかについて将来推計を行った。

推計の結果、以下の4点が明らかになった。

  1. 年齢階層別労働力率をみると、制度変更による労働力率の上昇は「M字型曲線」の最も底となる35〜39歳の層で高く、若年層と高年齢層はやや低くなっている。就労促進効果は、全世代に及ぶとともに、「M字型曲線」の底を高めることにより労働力率の曲線をなだらかにする効果が期待される。
  2. 就労形態別比率をみると、制度変更により正規雇用の比率が大幅に高まる結果となっている。正規雇用は2005年の33.1%から徐々に高まり、2035年に52.0%、その後は52%台前半で安定する結果となっている。
  3. 制度変更による25〜49歳の女性の就労人口の拡大効果は、制度変更後徐々に拡大し、2029年に最大188万人の増加となる。
  4. 就労形態別の就労人口の推計をもとに、25〜49歳の女性の就労による年間所得を推計すると、就労所得の拡大効果は、2031年に最大10兆0,097億円の増加となる。

以上の推計結果は、女性の就労を抑制するような税・社会保障制度を見直し、就労に中立的な制度に改めることが、女性の就労促進につながり、長期的にみると大きな経済効果をもたらすことを示している。これは、今後の税・社会保障制度のあり方を検討するうえで示唆するところが大きいと思われる。

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