―要約―

個人型確定拠出年金への評価と可能性

高石 洋
西久保浩二

個人型確定拠出年金が開始となった。当制度は、先行する他の自助努力型の年金制度・商品と比較すると、税制面、ポータビリティなどでの優位性があげられる。加入意向のある層として、ポータビリティを重視している若年層や、未だ確固とした老後準備手段のない層が確認できた。

しかし、全体的にみると「メリットがない」といった反応が強く、大きな魅力が認められているとは言い難い。これは、中途換金など流動性に欠けることや、運用責任を自らが負わなければならないことが第一の原因と考えられる。加えて先の特長についても、個人年金や国民年金基金などでも相応のものを備えている。

このような条件下で個人型DCの普及の予測は難しいが、類似の先行制度並みの速度で普及すると仮定し市場推計を試みた。その結果、中位推計での10年後の加入者数は301万人、資産残高は、4兆2,104億円(平均運用利回り3%)となった。財形年金並みの市場規模である。

ともあれ、個人型DCが現行制度のままで、多くの国民にとって自助努力による老後準備の中心的手段として発展することを期待するのは難しい、という結論に至らざるを得ない。

当制度の普及を促進するためには、制度間比較での中立性を前提としながら、可能な限りのフレキシビリティが用意されることが重要ではないだろうか。それを踏まえて次のような改善点を提案する。すなわち、(1)積立資産を限度額とする低利貸付制度の導入、(2)財形制度、国民年金基金、税制適格の個人年金制度等との間での柔軟な資産移管、(3)個人型と企業型という二分型の制度体系を見直し、両者の折衷型というべき統合型の創設、である。

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