―要約―

高等教育費に対する負担感と変わり始める教育費負担意識

長井 毅

子どもの教育費の高騰が叫ばれているが、家計における教育費支出が深刻なのは、いかなる世帯なのであろうか。

本稿では、子どもの教育課程の状況や、公立か私立か、塾・家庭教師などに要する費用があるかどうか等、様々な角度から子どもの教育費支出に対する負担感の違いを探ってみた。

その結果、子どもの教育費支出に対する負担感は、とりわけ大学生を抱える世帯において高いことが示された。大学生を抱える家計では、“消費の切りつめ” や“貯蓄の抑制”はもとより、“資産の取り崩し”や“教育費支払いのために妻が働き始める”、“子ども自身が学費の支出のためにアルバイトをする”など、多面的に家計のやりくりを行っていることが明らかになった。

同時に、教育費支出に対し負担を感じている世帯では、親が子どもの教育費支出の主役であり続けることを否定する考え方が現れ始めていた。こうした世帯では、大学以上の高等教育の選択並びにその費用負担は、子ども自身の判断で、また自己責任で、そして自己拠出で行うべきであると考え始めているように思われる。

家計収入の不安定化や失業など親の経済的事由により高校や大学を退学せざるを得ない学生が急増しているといわれるなか、奨学金制度の充実、高等教育における公的教育費の拡充といった公的インフラの一層の強化も、当事者である子ども自身の主体的な意思決定による教育の選択を促すうえで欠かせない。

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