平成14年10月24日 '02-8号 Press Release

「生活設計と金融・保険に関する調査 第3回 −金融資産選択に関する調査−」まとまる



(財)生命保険文化センター(会長・宮澤健一)では、「生活設計と金融・保険に関する調査 第3回 −金融資産選択に関する調査−」をまとめました。

 わが国では、生活保障の基盤である社会保障制度が変容し、自助努力による生活保障準備と金融資産の形成がこれまで以上に重要な課題となっています。
 一方、金融資産の選択を取り巻く環境も変わってきています。金融商品・サービスの選択の幅が拡がる反面、生活者には選択に対する責任がこれまで以上に求められるようになってきました。

 そこで本調査では、生活者の金融商品・サービスの選択行動、選択意識を捉えることにより、金融資産選択の方向性を探っています。

 
 [調査結果のポイント]
1.
過去1年間の保有金融商品の増減
  近年の景気低迷に伴う収入の減少等で「普通預貯金」を取り崩した家計が36.1%、 株価の下落等で「株式」の残高が減少した家計が13.3%。
(1) 過去1年間に「普通預貯金」の残高が増えた家計は25.6%に対し、逆に「普通 預貯金」の残高が減った家計は36.1%であった。
ペイオフ一部解禁への対応等で普通預貯金にシフトした家計がある一方で、近年の景気低迷に伴う収入の減少等で「普通預貯金」を取り崩す家計が多いことを示している。
(2) 過去1年間に「株式」の残高が増加した家計は4.1%にとどまる一方、減少した家計は13.3%と高くなっている。「株式」の保有比率が高い60歳代では減少割合が28.2%と3割近くに達している。
株価の下落等による家計金融資産の減少をうかがい知ることができる。

2.
金融商品選択の方向性
  金融商品の選択の方向性としては、安全性や流動性といった金融商品の特性を重視しつつも、リスク性資産の購入による収益性にも配慮した金融資産形成を志向。
(1) 生活者が金融商品を選択するうえでどのような点を重視しているのかをみたところ、「元金の保証」が47.7%と最も高く、ついで「いつでも換金できる」(37.6%)、「利回りが高い」(31.8%)の順となっている。
「普通預貯金」の残高が減った家計が多いとはいえ、依然保有金融資産総額の6割以上を貯蓄型商品が占めており、生活者は安全性や流動性といった金融商品の特性を重視して資産形成を行っていることがわかる。
(2) 金融商品を選択するうえでの今後の期待をみると、現在の重視点同様「元金の保証」が42.6%と最も高いものの、2番目には「利回りが高い」(36.1%)があがっている。また、今後「株式」を購入・積み増したいとする割合も15.1%と高い。これらを考慮すると、生活者はリスク性資産の購入により収益性にも配慮した金融資産形成を志向し始めていると推察される。

3.
金融取引の方向性
  金融取引の方向性としては、より多様な金融商品に、そしてより多数の金融機関に、手持ちの資産を分散する傾向が高まる。
(1) 過去1年間の金融商品選択の傾向については、“複数の金融商品に分散させた”が7.4%、“特定の金融商品に集中させた”が9.0%であった。
また、今後の金融商品選択に対する意向をみると、“複数の金融商品に分散させたい”が19.3%と、実態値(7.4%)より10ポイント以上高くなっている。
(2) 過去1年間の金融機関との取引の傾向については、“複数の金融機関に分散させた”が14.2%、“特定の金融機関に集中させた”が12.4%であった。
また、今後の金融機関との取引に対する意向をみると、“複数の金融機関に分散させたい”が25.9%と、実態値(14.2%)より10ポイント以上高くなっている。
(3) 生活者の6割以上が“自分がどのような金融商品やどのような金融機関を選んだかによって生じた利益や損失については自分で責任をもつことは当然である”と認識している。こうした自己責任意識の高まりもあいまって、金融取引の方向性としては、今後一層多様な金融商品に、そしてより多数の金融機関に資産を分散する傾向が高まるものと予想される。

4.
銀行・証券・生保に期待されるもの
  銀行に対しては地理的な利便性、証券会社に対しては取引コストの低減、生命保険会社に対しては商品開発力を期待。
(1) 各家計におけるメインの銀行、証券会社、生命保険会社に対する期待で最も高かったのは、いずれも「経営内容のよさ(財務的健全性)」であった。
メインの金融機関に対しては、業態を問わず健全性への期待が高くなっている。
(2) ただし、健全性につぐ期待項目では銀行、証券会社、生命保険会社によってそれぞれ相違している。
銀行に対しては地理的な利便性を、証券会社に対しては取引コストの低減を、生命保険会社に対しては商品開発力をそれぞれ期待している。
メイン銀行に対しては、「自宅からの近さ」(37.2%)、「取引手数料が低い」(36.7%)を期待している。
メイン証券会社に対しては、「取引手数料が低い」(40.6%)、「魅力ある金融商品の提供」(39.6%)を期待している。
メイン生命保険会社に対しては、「魅力ある金融商品の提供」(31.0%)、「経営姿勢がよくクリーン」(27.5%)を期待している。

5.
14年4月のペイオフ一部解禁に伴う金融資産預け替え行動
  平成14年4月のペイオフ一部解禁に伴い、1,000万円超の定期性預金を保有していた生活者では、金融資産を預け替えた割合が36.3%。
(1) 平成14年4月のペイオフ一部解禁時における1,000万円超定期預金保有層の預け替え行動をみると、「預け替えた」は36.3%となっている。また、その引き出した預金の預け入れ先をみると、「他銀行の預金」が71.1%であった。

6.
金融資産形成の目的
  「老後の資金準備」が金融資産形成の最大の目的であり、4人に1人が20歳代から既に老後の準備を開始している。
(1) 金融資産形成の目的をみると、「老後の資金準備」が65.7%で最も高く、ついで「病気やケガの準備」(64.6%)、「万一死亡のときの準備」(45.8%)の順となっている。
(2) 老後の準備開始年齢をみると、20歳代から準備を開始した割合が23.3%と4人に1人の割合に達しており、平均も40.3歳となっている。

7.
老後生活に向けた今後の金融商品選択
  老後生活に向けた今後の金融商品選択においては、多様化の傾向がみられる。
(1) 生活者は、老後生活に向けた金融商品を選択するうえで「元金の保証」「病気・事故への不安の緩和」「いつでも換金できる」といった安全性や保障性、流動性を重視している。
(2) 具体的な保有商品をみると、「定期預貯金」が39.6%と最も高く、ついで「普通預貯金」(35.2%)、「終身保険」(28.1%)、「個人年金保険」(27.1%)の順となっている。老後資金準備の中核をなす金融商品は、貯蓄型商品や保険型商品であることがわかる。
(3) (3) 今後の準備意向をみると、「定期預貯金」などの保有割合の高い金融商品は、今後の保有意向の方が低くなっているのに対し、保有割合の低い金融商品では逆に今後の保有意向の方が高くなっている。老後生活に向けた今後の金融商品選択においては、多様化の傾向がみられる。

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<調査要領>
  調査地域 :首都圏30km圏
  調査対象 :満20〜69歳の学生は除く男女個人
(調査会社登録パネルより首都圏の年齢別人口構成に応じて抽出)
  サンプル数 :1,000
  有効回収数 :789
  調査方法 :郵送法
  調査時期 :平成14年6月21日〜7月2日
  調査機関 :(株)インテージ
以上