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平成13年4月19日 '01-1号 Press Release

「ワークスタイルの多様化と生活設計に関する調査」まとまる
-調査結果の概要(プレスリリース資料)-


5.ワークスタイルの多様化が生活設計に与える影響は
(1)新たな生活不安増大の可能性
 老後の生活資金準備や病気・けがへの備えに対する不安はいずれのワークスタイルでも高く、ワークスタイルの多様化とは一線を画す普遍的な生活不安といえよう。
 これに対し、収入の不安定性が増す変動給ワーカーでは、住宅ローンの返済や子供の教育費用準備への不安が高い。またフリーター等の非正規雇用(独身)では、自分の結婚費用準備や結婚相手が見つからないといった不安が高くなっている(図表14,15)。
 こうした結果から、今後収入や雇用の不安定性が増すことにより、住宅ローンや教育費といった硬直的支出への不安や、結婚・出産といったライフイベント選択への不安が高まるものと推察される。

図表14 生活不安
    (住宅ローン、子供の教育費)

 

図表15 生活不安
    (結婚費用、結婚相手)


(2)成果主義の浸透に伴い、将来の資金準備計画が困難化
 安定給ワーカーは、将来の資産形成、保障準備に関する生活設計を“立てていない”割合が45.5%となっている。これに対し、変動給ワーカーでは、“立てていない”割合が54.8%と過半数を占めている(図表16)。
 また、安定給ワーカーでは、“妻にも働いてもらいたい”が38.2%に対し、変動給ワーカーでは、同割合が45.2%と4割を超えている(図表17)。
 成果主義賃金制度の浸透は、収入の不安定化を促し、将来の資金準備計画を困難にさせる。同時にその対応として、夫は妻の就労による収入に期待するのではないか。
図表16 将来の資産形成、保障準備
     に関する生活設計の程度
図表17 “妻にも働いてもらいたい”
     と思う割合


(3)老後保障の弱体化の危険性
 正規雇用の老後保障準備割合は55.6%である。これに対し、非正規雇用であるフリーター、派遣の老後保障準備割合は12.1%、44.8%である。また転職を繰り返すキャリアサーファーは48.5%となっている(図表18)。
 一方保有金融資産額をみると、正規雇用は、加齢とともに順調に金融資産形成が進むのに対し、キャリアサーファーは50歳代で資産減少に向かう。フリーターの保有金融資産は正規雇用の約5分の1に留まっている(図表19)。
 フリーターや派遣といった非正規雇用、さらには転職を繰り返すキャリアサーファーの増加といったワークスタイルの多様化は、順調な金融資産形成を難しくさせる。加えて公的保障や企業保障への期待もできず、結果として老後保障を弱体化させるのではないか。
図表18 老後保障準備をしている割合
    
図表19 年代別金融資産額
    

(4)就業設計や職業能力設計を重視する生活設計
 雇用や収入が安定している時代においては、将来の収入・資産状況がある程度予測可能であったため、将来の結婚、出産といったライフイベントの選択、あるいは資産形成や保障準備等の計画が容易であり、生活設計の力点もそこに置かれていた。
 しかしワークスタイルの多様化に伴い、雇用や収入の安定性を失いつつある時代においては、そうしたイベント選択等の生活設計以前に、いつまで今の会社で働くか、その後どういう形態で働き、いつ引退するかといった“転職、転業・独立、引退”についての青写真(就業設計)が必要となる。同時に、その実現のためにいつまでにどういう職業能力を身につけるかといった将来計画(職業能力設計)も求められる。
 調査結果によれば、変動給ワーカーでは、こうした就業設計や職業能力設計を立てている割合が高くなっている(図表20)。
 今後のワークスタイルの多様化により、ライフイベントや資産形成の生活設計を立てる前提として、就業設計や職業能力設計がより重要になると考えられる。
図表20 生活設計を立てている割合
 

(5)SOHOは生活防衛行動に走る
 SOHOは、医療(58.3%)、老後(57.5%)、介護(34.3%)、死亡(28.3%)という4大保障準備に対する不安が高く、これら不安の合計は正規雇用より40ポイント近く上回っている(図表21)。
 正規雇用の貯蓄率は12.8%であるのに対し、SOHOは年収の18.3%を貯蓄に回している。また、その貯蓄の内訳をみると正規雇用では積立型保険による貯蓄が2.8割であるのに対し、SOHOでは4.1割にも及ぶ(図表22)。
 SOHOは、公的保障、企業保障という生活保障基盤が希薄なため生活保障不安が高い。それゆえ生命保険などの自助努力手段を活用した生活防衛に力点が置かれているのではないか。
図表21 生活不安
図表22 年収に占める貯蓄の割合と貯蓄額
   に占める保険(積立型)の割合


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