平成11年4月15日 '99-1号 Press Release

「老後生活のリスク認識に関する調査」まとまる
−様々な老後リスクを3つに類型化し、それぞれの規定要因を分析−


  (財)生命保険文化センタ−(会長・加藤一郎)では、人々が老後生活に対して抱く様々な不安について、その意識構造(リスク認識の規定要因)を分析し、「老後生活のリスク認識に関する調査」と題する報告書をまとめました。
 急速に進む少子高齢化の中で、年金、医療、介護、いきがいなど、高齢者を巡る様々な問題に関心が高まり、そのための社会的な対応が急がれています。個々人のレベルでも豊かな老後に向けて、若い頃から自己の老後生活リスクを認識し、適切な対応を図っていく必要があります。
 こうした問題意識のもと当センターでは、適切なリスク対策を研究する上では、まずどのような人がどのようなリスクを老後生活のリスクとして不安に感じているのか、その実態を明らかにすることが出発点と考え、65項目のリスクについて個人の属性や生活習慣の違いによる不安意識の違い(リスク認識の規定要因)を分析いたしました。その結果、老後の生活リスクを3つに類型化することができ、またそれぞれのリスク認識の規定要因を明らかにすることができました。
 [今回の調査結果の主なポイント]

老後リスクの類型化
65項目の老後の生活リスクを、統計的手法(因子分析)により類型化した結果、「人間関係リスク」、「費用リスク」、「健康・能力低下リスク」の3つに類型化することができた。
(1)人間関係リスク…社会関係、人間関係を損なうことに対する不安を表す
(2)費用リスク…生活上の経済的な不安を表す
(3)健康・能力低下リスク…健康を損なったり、老化による身体能力が低下することに対する不安を表す
 これは、あるリスク項目に不安を感じる人は、同じリスク類型に含まれる他のリスク項目にも不安を感じる可能性が高いことを意味する。例えば「友人がいない、できない」という不安を感じている人は、現在は感じていなくても、中長期的には同じ「人間関係リスク」に含まれる「自己存在感の希薄化」などのリスクにも不安を感じるようになる可能性が高いことになる。(詳細へ)

老後リスク認識の規定要因

「どのような属性の人」が「どの類型のリスク」を感じやすいかを分析することにより、「リスク認識の規定要因」を明らかにした。

(1)個人の属性(性、年齢、未既婚、年収、パーソナリティ※1など)による分析

(2)生活習慣の違い(情報に対する志向性※2、日常生活の自立度、友人関係など)による分析

男女別にみた特徴

男女別に大きな差があらわれた項目をみると、男性の方が不安意識の高い項目には、「適当な再婚相手が見つからない」、「いざというときに頼れる人がいない」、「友人がいない、できない」、「熟年離婚」など、配偶者を含む人間関係に関わる項目が多く、一方、女性の方が不安意識の高い項目には、「家事能力の低下」、「情報化・技術革新への不適応」、「情報収集能力の不足」、「加齢に伴う能力の低下」など、自分自身の身体的機能や環境への適応力などの能力の低下に関わる項目が多い。 <性別に差の大きい老後リスク認識>
老後に自分の資産管理や身の回りの世話を依頼したい先について、夫は妻に、妻は夫と子どもに、という結果になった。
 <老後の資産管理をしたい先>
 <資産管理サービスの利用意向>

外部サービスとしての資産管理サービスや介護関連サービスの利用意向について、いずれも女性の方が利用意向が高くなっている。<在宅介護サービス・介護施設の利用意向>

年齢別にみた特徴

60歳以降の就労意向について、現役世代(60歳未満層)の約7割が「働きたい」であるのに対し、退職世代(60歳以上層)で実際に「働いている」のは約4割であった。また、その理由については、現役世代では「生活費をまかなう」が高いが、退職世代では「健康を維持する」が最も高い。

その他
妻が夫の親の面倒をみることについて、「同居ならみるべき」は、男性で過半数を占め、女性よりも高くなっており、「みる義務なし」も女性を上回っている。逆に、「当然みるべき」は女性の方が男性より高くなっている。
妻が夫の親の面倒をみた場合、妻に「特別寄与分(夫の親の遺産を相続する権利)」を付与することについて、男女とも賛成派が大勢を占めている。


−調査要領−

(1)調査地域 首都圏50Km以内居住
(2)調査対象 35〜74歳の男女個人(世帯主がサラリーマンまたはサラリーマン経験者)
(3)サンプル数 5,000(回収目標 3,000)
(4)回収数 3,005
(5)抽出方法 層化2段無作為抽出法
(6)調査方法 訪問留置法
(7)調査時期 平成10年8月28日〜10月2日