#消費生活相談

第2回:通信販売での
トラブルを避けるために

消費生活センターに寄せられる相談事例から

公益社団法人
全国消費生活相談員協会
石田 緑

消費生活センターは都道府県・市区町村ごとに全国で800か所ほど設置されています。昨年1年間に消費生活センターに寄せられた相談件数は約94万件に及びます。

消費生活センターに入る相談は、業者が突然家を訪問してきて必要のない高額リフォームを勧める、また不用品を高く買い取ると言って高齢者宅に上がり込み、指輪などの貴金属類を安く買い叩いて持っていくなどの怖い事例もあります。

しかし一方で、最近の相談の多くを占めるのは通信販売に関するものです。65歳以上の相談者でも、インターネット通販の相談件数に占める割合は訪問販売の割合を上回っています。スマートフォンの普及により、今や、洋服、生活雑貨、健康食品の購入はもちろんのこと、旅行の申込み、航空チケットの購入、コンサートチケットの購入、保険の契約等、ありとあらゆる場面でインターネット通販が幅を利かせています。

通信販売は自分でじっくり考えてから契約を結ぶことができるため、不意打ち性の高い訪問販売等に認められているクーリング・オフは適用されません。自己都合による返品については事業者が設けた特約に従うことになるので、申し込む前に確認することが必要です。特約がなければ、商品を受け取った日を含めて8日以内であれば送料自己負担で返品ができますが、返品・交換不可という通販もありますので慎重な契約が求められます。

一度申し込んでしまえば、契約成立となってしまうので、決定ボタンをタップする前に、事業者名、連絡先、支払い方法、商品名、返品・交換規定、解約方法等について、じっくり読んでから申し込むことが必要です。

「ダイエットサプリが初回980円だったから申し込んだけど、4回購入しなければならない定期購入とは知らなかった」、「早期割引で安かったからハワイのホテルを4,5軒予約したけど、どのサイトでどのホテルに申し込んだかわからなくなった」、「インスタグラムを見ていたら、近くにポップアップ広告が出てきて、気に入ったコートを注文し、銀行振り込みをしたが一向に商品が送られて来ない」など、多くの相談が入ります。

サイトの内容を確認すると、契約条件が記載されていることがほとんどです。自分の記録のためにも、契約内容をプリントアウトしておく、スマートフォンであればスクリーンショットを取っておくなどしておけば安心です。

最近は海外事業者の旅行予約サイトも多く、一旦トラブルとなっても、国内にコールセンターがなく、メールでのやり取りのみという場合もかなりあります。航空券やホテル予約など、安い料金設定の場合は取消・変更不可という条件も珍しくないため、あらかじめ注意が必要です。

また一部のポップアップ広告には詐欺サイトに誘導するものもあります。振込先口座名義人が会社名でなく個人名という場合はおかしいと疑ってみるのも必要だと思われます。

通信販売は、いつでもどこでも簡単に申し込めるという点で非常に便利なものですが、契約前に契約内容を確認するなど慎重な姿勢が求められます。「条件内容をもう一度読む」というひと手間でトラブルを未然に防ぐことができます。

プロフィール

石田 緑

石田 緑(いしだ みどり)

公益社団法人 全国消費生活相談員協会 関東支部
東京都消費生活総合センター主任相談員

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