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第2回:ネットの「簡単に稼げる話」に気をつけて

公益社団法人
日本消費生活アドバイザー・コンサルタント・相談員協会
西田 智子

公益社団法人 日本消費生活アドバイザー・コンサルタント・相談員協会(通称NACS)では、行政機関が休みの週末に、消費生活に関する相談に助言を行う「ウィークエンド・テレホン(WET)」を開設しております。相談者の9割は60歳未満の方で、平日は仕事があり消費生活センターに相談するのが難しい層に利用されています。

消費者相談は、世相を反映しています。現在、政府が働き方改革の一環で、副業や兼業の普及促進を図る中、大手企業数社が副業許可を発表するなど、副業への機運が高まっています。その影響は、ウィークエンドテレホンにも波及し、副業にまつわるトラブルに遭った相談者からの相談が増えています。例えば、「ブログで、『商品を紹介して売ることができれば収入になる。儲からない場合は支払った代金は返金する』と言われ、試してみたが儲からない。代金も返金してくれない」、「WEBサイト作成の仕事を見つけたが、初期費用として50万円かかる。『月5万円の収入が確保されるのですぐにペイできる』と言われ契約したが、不安なので解約したい」といった相談が、数多く寄せられています。

また、ネットで「副業」や「サイドビジネス」などのキーワードで検索したときに引っかかってくるのが、いわゆる「情報商材」です。「情報商材」とは、主に、インターネットを通じて販売される、お金儲けの方法などの様々な情報(ノウハウ)です。

消費者は、「毎年2億円を稼ぐ投資のプロがあなただけに秘伝を伝えます」、「投資経験が無い方でも月収30万円以上実現を約束。実現できない場合は全額返金保証!」、「誰でも簡単に1日たった15分で稼げる」などの謳い文句に誘われて契約してしまいます。しかし、「情報商材」はその名のとおり、販売するのが「情報」であるため、契約前に中身を見ることができません。消費者は、良い情報が得られると期待に胸を躍らせて契約しますが、いざ購入して中身を見ると、内容が陳腐であったり、何度読んでも分からない複雑な方法だったりして、広告に書いてあったように簡単に稼げるものではないことが分かります。中身を見て愕然とした消費者が返品を申し出ても、事業者は、「返品特約に返品不可と書いてあるし、中身を見られているから返品できない」などと言い、返品に応じないのが通常です。また、広告に「全額返金保証」と書いてあっても、返金を受けるためには制限がいろいろあり、返金を断念させるのがこうした業者の常套手段です。

以前は、若い世代に「情報商材」のトラブルが集中していましたが、最近はパソコンやスマホを使うアクティブシニアも増えてきたことから、中高年世代にも被害が広まってきています。

どんなに内容が薄くて価値のないものでも、いったん購入してしまったら返金してもらうのは至難の業です。情報商材業者から返金を勝ち取った経緯が克明に書かれたブログなども掲載されることがあり、ブログの内容を鵜呑みにした消費者から、「『この業者は、消費生活センターが間に入るとすぐに全額返金に応じる』と、ネットに書いてありました」と聞かせてくれることがあります。しかし、そのときと今とでは契約内容や事業者の状況が異なっており、ネットに書いてあるように簡単に解決できるとは限らないのが現実です。

ネット上には、簡単な儲け話や、請求したら返金してもらえたという成功例など、さまざまな情報が飛び交っています。消費者は、ネット上の情報を正しいと思い込まず、冷静になって事の真意をよく考えることが大切です。

NACSでは、今後も、相談(WET)を通して、消費者に契約について考えていただくなど、消費者教育の役目も果たしていけるように取り組んで参りたいと考えております。

NACSウィークエンド・テレホン
大阪相談室:毎土曜日(10:00〜12:00,13:00〜16:00) TEL 06−4790−8110
東京相談室:毎日曜日(11:00〜16:00) TEL 03−6450−6631

プロフィール

樋口 容子

西田 智子(にしだ ともこ)

消費生活アドバイザー、消費生活相談員、NACS相談室担当運営委員。尼崎市立消費生活センター相談員

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