#年金

第1回:気になる老後の
公的年金と資金準備は!?

本年度の改正で思うこと

(公財)生命保険文化センター編集子(J)

我が家に近いスーパーマーケットでは、「15日」は65歳以上の会員なら購入商品が5%割引になります。「15日」という決め方に「なるほど、高齢社会らしい発想かな」とも思います。

偶数月の15日は、公的年金の支給日です。老後を迎える十数年後の私も、「公的年金+蓄えの取り崩し」で上手に日々をやりくりするために、こうした日に日用品をまとめ買いするのが習慣になっているかもしれません。

さて、この老後生活費を支える収入源の柱「公的年金」については、受け取れる年金額に関わる改正が平成30年度から行われています。

将来の年金額の伸び幅が抑えられる

公的年金の年金額は、物価などに連動して毎年度見直されます。これによって年金の価値が保たれ、「物価が上がったのに年金額は同じ…。さらに節約しないと暮らせない!」という事態は避けられます。

一方、「物価が上がっても、物価ほどには年金額を上げない」という年金額調整の制度があります。これを「マクロ経済スライド制」といいます。調整率を設け、物価が上がった際には物価上昇率から調整率分を差し引いて年金額が決まることになります。

年金受給者への年金給付は、現役世代が負担する保険料などでまかなわれます。少子高齢化が進むなか、現在は現役世代の保険料負担に上限が設けられています(保険料水準固定方式)。集まった保険料などの範囲内で年金を支払う(調整する)「マクロ経済スライド制」は、平成16年に保険料水準固定方式とセットの制度として導入が決まりました。

「保険料水準固定方式とマクロ経済スライド制」導入前後の保険料、年金額

段階的に上がっていた国民年金保険料は昨年度、平成16年度水準で月16,900円という上限額に達しました(物価の変動等で毎年度見直されるため、実際の保険料は29年度16,490円、30年度16,340円)。会社員の厚生年金保険料率も上限の18.3%(負担は勤務先と会社員が9.15%ずつ)に達しています。

すでに保険料水準固定方式は完了し、あとは年金額が長期にわたって調整されることになります。

マクロ経済スライド制による当面の調整率は毎年度マイナス0.9%程度と見込まれていました(平成16年改正時)。例えば、物価が毎年1%上がると、年金は1%ではなく0.1%(1−0.9)ずつ上がります。しかし、平成27年度以外は物価の下落などのため実施されていません。

平成30年度から、「未調整分」が次年度以降に繰り越しへ

実施されなかった調整率は、次年度以降に繰り越されることになりました。平成30年度の調整率はマイナス0.3%です。しかし、前年度と同額の年金額に据え置かれたため全く調整できませんでした。 調整の仕組みを強化する改正の初年度から、マイナス0.3%を次年度以降に繰り越す形でスタートしました。今後、年金額が上がるときにまとめて差し引かれることになります。

ところで、「公的年金をいくら受け取れるか」は老後を控えた世代の関心事です。当センターの小冊子「ねんきんガイド」にも、「公的年金額の早見表(目安額)」を掲載しています。
※「ねんきんガイド」のご紹介はこちら

関心の集まる年金受給額はともすると、請求したらいくらの年金を受け取れるか、つまり「受給開始時の年金額」を指している気がします。従来は、受給開始時の年金額が分かれば、物価が上がっても年金の価値が守られるため、受給開始後の年金額の変化は気にする必要がなかったかもしれません。

現在、物価は比較的落ち着いていますが、もし上昇に転じれば、受け取る年金では従来と同じだけ買い物ができない(年金の価値が相対的に下がる)状態がゆっくりと、しかも確実に進むことになります。

長い老後を見据えて、老後の資金準備の重要性が一層増すと思うのは気のせいでしょうか。

■物価上昇時の年金額の見直し(イメージ)

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