老老介護の実態

平成29年8月に厚生労働省から発表された要介護(要支援)認定者数(暫定版)は、639.2万人、うち男性が199.7万人、女性が439.4万人となっています。そして、平成28年の「国民生活基礎調査の概況(厚生労働省)」では、要介護者等のいる世帯の状況は、主な介護者(熊本県を除く)をみると、要介護者等と「同居」が58.7%で最も多く、「同居」の主な介護者の要介護者等との続柄をみると、「配偶者」が25.2%で最も多く、次に「子」が21.8%「子の配偶者」が9.7%となっています。また、同居の主な介護者と要介護者等の組合せを年齢階級別にみると、「70〜79歳」の要介護者等では、「70〜79歳」の者が介護している割合が48.4%、「80〜89歳」の要介護者等では、「50〜59歳」の者が介護している割合が32.9%で最も多くなっています。

介護保険制度の申請

日本における介護保険制度はまさにこの老老介護の下支えをしている重要な制度です。しかし、私の両親のような後期高齢者世代の75歳以上の人が初めて介護申請を行うには、制度の仕組みはかなり難しいのが実態です。

皆さんは介護保険制度を利用する場合の手順をご存知ですか?ここで簡単に確認しておきましょう。

まず市区町村へ介護認定の申請をします。窓口は市区町村の役所だけではなく、それぞれの地域の「地域包括支援センター」でも受け付けてくれます。役所は少し遠くて行きにくいという場合でも、この「地域包括支援センター」が近くにあれば、介護保険が必要になった事情等をすぐに相談し、申請を行うことが可能です。申請後1ヵ月程すると市区町村からの認定審査員により、原則は自宅にて訪問審査が行われます。その後さらに1ヵ月〜2ヵ月程で介護認定結果が出ることになります。実際には「地域包括支援センター」を通して介護事業者の紹介を受け、明らかに「要介護」認定が想定される場合等には介護認定の結果を待たず介護保険制度の利用が進められているようです。介護認定の際には、医師の診断書等も必要となりますので、近所に主治医がいる場合にはその旨を伝えることで手続はよりスムーズになります。

介護認定と費用負担

次に要支援・要介護認定がされた場合ですが、要支援1〜2、要介護1〜5(数字が大きい程、介護度は重くなります)の区分に応じ支給限度額を目途に、介護サービスを選択して利用することになります。

公的介護保険で受けられるサービスの内容は?
http://www.jili.or.jp/lifeplan/lifesecurity/nursing/11.html

利用者の負担割合は現在、年金収入等の収入に応じて280万円未満の収入の場合は1割の負担、年金収入等収入が280万円以上の場合(※1)は2割負担となっています。この2割以上負担の方の割合について、平成30年8月以降年金収入等収入が340万円以上の場合(※2)は3割となることが法改正により決定しています。3割負担者の割合は介護保険受給者のうちの約3%、12万人ほどになる予定ですが、介護保険を頼りに生活していく世帯にとっては相応の負担となりそうです。セカンドライフが長くなる時代です。少しでも動けるうちに今から準備をしておきたいことを多くの場面でご紹介させて頂いていますが、現役世代は日々の仕事に追われ時間が無いためどうしてもセカンドライフ突入後の対応となりがちです。

しかし、歳をとれば誰かの手を借りずに高齢者が生活をし続けることが難しくなります。私の義母は、息子がいて心配はしていても同居をしていないので83歳の義父の介護を79歳の義母が一人で担うことになり、悲鳴を上げてしまいました。先日も義父の様子が急に悪くなりましたが、私達は駆けつけることができず、結局義母に付き添って病院に行ってくださったのは介護支援専門員(ケアマネージャー)の方でした。義母が病院からかけてきた電話は要を得ず、介護支援専門員(ケアマネージャー)の方の的確な対応を得て、ほっと胸をなでおろすことができました。

長生きできることが幸せなことと思えるように、知識を備え、制度を知り、自らのセカンドライフは人任せではなくコーディネートしていく必要性が今後ますます高まることでしょう。

参考:
※1 「合計所得金額160万円以上」かつ「年金収入+その他合計所得金額280万円以上(単身世帯の場合。夫婦世帯の場合346万円以上)」
※2 具体的な基準は政令事項。現時点では、「合計所得金額(給与収入や事業収入等から給与所得控除や必要経費を控除した額) 220万円以上」かつ「年金収入+その他合計所得金額340万円以上(単身世帯の場合。夫婦世帯の場合463万円以上)」とすることを想定。

平成29年介護保険法改正: http://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-12300000-Roukenkyoku/k2017.pdf
ケアマネージャー: http://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-12300000-Roukenkyoku/0000114687.pdf

プロフィール

小倉 絵里

特定社会保険労務士 小倉 絵里
社会保険労務士事務所 オフィス 代表

東京都荒川区生まれ。日本女子大学卒業。
大手企業勤務を経て、2008年に社会保険労務士登録。
商工会議所や大手金融機関などで、セミナーを実施。雑誌などで記事の執筆も多く手掛けている。