2012年消費者問題10大ニュース 名古屋経済大学名誉教授 小木 紀之
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新しい年を迎えた。昨年は内憂外患の年であった。今年こそ消費者にとって安心・安全の社会であることを願う。今年の暮らしはどうなるのか。消費者は暮らしの足元を見つめ、変化する時代に冷静に対応する姿勢を持ってほしいと思う。

東日本大震災から1年10カ月、脱原発問題一つ取り上げてみても、原発事故対策重点区域(原発30キロ圏)に含まれる全国135市町村の首長を対象にした読売新聞アンケート調査(1月6日付)では「条件付き」が大勢だが「再稼働容認」首長が54%を占めたことを報道している。原発が地域の基幹産業の自治体が多く、長引く稼働停止が地域経済に深刻な影響を与えていることが背景にあるとしている。

ところで「昨年の消費者問題10大ニュース」には、どの様なものがあったのだろうか。国民生活センター発表のものから取り上げてみると次の様なものがある。「10大ニュース」は社会的に注目を浴びた問題や各地の消費生活センターに多く寄せられた相談の中から選ばれている。

  • 高齢者トラブルが増加
    超高齢社会を反映し、高齢者トラブルが増加した。昨年の消費生活相談62万7,597件(10月末時点)のおよそ4分の1にあたる14万5,323件は当事者が65歳以上だった。
  • 買え買え詐欺
    電話やパンフレットで高齢者を勧誘し、未公開株や社債などを高額で買わせる、いわゆる「買え買え詐欺」の被害が拡大。
  • 訪問購入を規制
    業者が高齢者宅を訪れて買い取る「押し買い」が相次いだ。「訪問購入」を規制する改正特定商取引法が昨年8月に成立。
  • コンプガチャ
    携帯電話などで遊ぶソーシャルゲームで、有料くじを引いてカードの絵柄をそろえるというもの。消費者庁は「射幸心をあおる」として景品表示法違反にあたるという見解を示した。これを受け業者は相次いで廃止。
  • サクラサイト商法
    サクラを使って有料サイトに誘導する商法が問題化した。サクラが有名タレントなどになりすまして、メール交換等の有料サービスを利用させるもの。
  • スマートフォンをめぐる相談が増加
    スマートフォンを持つ消費者が増え、相談は一昨年の2,383件から、5,279件(いずれも10月末時点)に大幅に増加した。

その他に
・消費者安全調査委員会発足
(10月消費者庁に設置、暮らしを守る安全弁としての役割に期待)
・サラ金・フリーローンの相談が大幅に減少
・消費者教育推進法成立
・食品表示の一元化に向けた検討進む
を挙げている。

「10大ニュース」からその年の暮らしの背景を知ることが出来るが、「超高齢社会」の出現は、一方で「シニア市場の創出」がみられることになる。団塊の世代が65歳を迎えた昨年、大手スーパーが「介護用品売り場」を拡大し始めた。紙おむつの生産も乳幼児用を上回り、シニア用が急増しているとマスメディアは伝えている。

自己実現をめざす生活価値意識の変化は「終活」の一つである葬儀型式にも特徴が見いだせる様になってきた。また、コンビニ各社では「買い物弱者」サービスの展開に取り組み始めている。



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小木 紀之(おぎ のりゆき)

小木 紀之
(おぎ のりゆき)


ノートルダム清心女子大学・長崎大学各助教授を経て名古屋経済大学経済学教授。
その間、放送大学客員教授(消費者問題論)歴任。
現在、日本消費者教育学会名誉会長。
名古屋市消費生活審議会長、岐阜県消費生活安定審議会長を務める。
平成24年度 消費者支援功労者表彰(内閣総理大臣表彰)受賞。

 
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