保険とかかわる、ということは・・・ 社団法人 全国消費生活相談員協会理事 中部支部副支部長 石田 智子
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行政の窓口で相談員をしています。日々の消費生活相談の中には家族の相談や身の上話を伺うこともあります。中にはわがままな言い分の方もあり対応に苦慮することもあります。そのなかで最近は保険の相談は減少傾向にあるようです。

経済が右肩上がりだった頃、配当金もよかった時代、保障以外に老後資金もあてにして入った終身保険。
しかし、その後経済は低迷し、保険料の払い込みが終了したときに受け取ろうと思っていた配当金は何分の一かの額でした。

こんなはずではなかった、プラン表と違うと肩を落とす60歳代の男性。
プラン表には大きな文字で予定の配当金額が書いてあります。
下の方に「配当金は変動する」ことが説明してありました。

「必ずこの金額がもらえる。」と、聞いたと言われます。本当だったら?ひどい話です。
しかし、「これは配当金だから、予定の数字。でも景気がいいから大丈夫でしょう。」くらいのことは言ったかもしれません。
いまさら、何十年も後になってからでは、ましてや「言った、言わない」では解決できません。人の記憶もあいまいになってきます。

説明する側にも、相手の理解度合いによって説明の仕方に工夫が必要でしょう。
聞く側も、人によって受け止め方や理解の度合いに差があります。
通り一遍の説明では説明したことになりませんし、聞く側もこうと思いこんで聞いていたら、聞き洩らしてしまいます。
この保険で保障を買ったと承知していれば、その点がしっかりと伝わっていればこのような落胆はなかったのでしょう。

高齢者世帯が多くなり、二世帯や三世帯で暮らすことはなかなかかなわない時代のようです。家族に囲まれていても長生きに対する不安があります。
最近は医療保険や介護保険など、生きるリスクに応える商品が増えています。

遠方に娘を嫁がせた一人暮らしの70歳代のご婦人。
孫の顔を見に娘さんのところに遊びに行っていた時のことです。娘さんの家に保険会社の方がいらした。
その際に、日頃から気になっていた医療の保障。その場に居合わせたのを幸いと、医療保険に入られました。

夫に先立たれ経済的にも自立した暮らしをしていらしたので、病気をしても経済的に娘に迷惑をかけたくないとの思いがあったのです。
やれやれ安心と思ったのですが、年齢が高いので掛け金は高額なものになっていました。数か月後、毎月の掛け金が負担になり解約することに。

いろいろな暮らし方があります。様々な不安があります。時代の要請に応じてたくさんの保険商品が提供されています。
選ぶのは消費者の権利の一つです。しかし、保険は形の見えない商品ですから、選ぶというのは苦しみでもあります。何を優先したいか、どこまでコストをかけられるか、自分のニーズをはっきり自覚しておきたいですね。

プロフィール 石田 智子(いしだ ともこ)

石田 智子(いしだ ともこ)
消費生活専門相談員、消費生活アドバイザー、ファイナンシャルプランナー(AFP)
社団法人 全国消費生活相談員協会理事 中部支部副支部長
愛知県尾張県民生活プラザ相談員

 
 
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