「講座を自己満足で終わらせないために」〜私欲なきバトル〜 NACS 経済市民教育推進グループ消費生活アドバイザー 沖山 久子
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「女神を受講者にやってもらうのは無理だと思うよ」
「でも、受講者から女神役をスカウトしたほうが盛り上がりますよね?」メンバーの言葉に私は反論する。
電子マネーをテーマにした講座で実施する「お金の泉」という寸劇のリハーサル後の光景だ。私のなかでは、受講者の若い女性に美しい女神役を演じてもらうイメージが既にできていた。受講者から女神をスカウトするプランを取り下げるのは残念だった。

私たち「NACS経済市民教育推進グループ」では、メンバーが講座をする際は必ず事前に模擬授業を行い、内容を検討している。講座に寸劇を取り入れることが多いので、寸劇のリハーサルも欠かせない。

「お金の泉」〜あなたにふさわしい「お金」をあげましょう〜「お金の泉」のストーリーは、村人が泉に現金を落とすと女神が現れ、現金の代わりに用途に合った電子マネーを渡していく。ねらいは、多種多様な電子マネーの特性を把握してもらうことである。どんな人にどのような電子マネーが渡されるのかが見どころだ。

「村人役は受講者にお願いできるけれど、女神は出番が多い。台本を見ながら演じてよいと言っても、当日のぶっつけ本番は無理だと思う。」女神役を演じたメンバーからも同じ意見が出たため、私も納得した。

いつも思うことだが、やってみないとわからないことは本当にたくさんある。だからこそ、検討会には意義がある。自分では完成したつもりでも、他人にはわかりづらい表現や段取りの不備などが判明し、独り善がりな講座になることが防げるのだ。

メンバーの前で模擬授業を行うことは、ある意味本番より緊張する。みんな歯に衣着せない、というより容赦ない!

「何を言いたいのか伝わらない」「差し障りのない話ばかりでおもしろくない」

マシンガンの連射のような攻撃に、最初の頃は「泣いてもいいですかぁ〜」と心の中でつぶやいたこともあったが、もう慣れた。みんなどんなにガンガン言い合っても、決して尾を引かずさっぱりしている。それはやはりメンバー全員が私利私欲のためではなく、純粋に「大きな失敗をしないために必要な知識を若い人に伝えたい」という熱い思いで、わかりやすい講座を目指しているからだと思う。

メンバーは消費者相談員や企業人、主婦、技術者、社会人落語家など境遇は様々だが、その信念だけは全員共通だ。それぞれの立場が異なるため、バトルのような言い合いになることもよくある。それでも大筋がぶれていないので、きちんと着地点を見出すことができる。
この信念に基づいて、これからもまた「私欲なきバトル」が繰り広げられるだろう。

でも、本音を言わせてもらうと、すみません、もうちょっとお手柔らかにお願いします。

プロフィール 沖山 久子(おきやま ひさこ)

沖山 久子(おきやま ひさこ)
消費生活アドバイザー、ファイナンシャルプランナー(AFP)。
生命保険会社、生活協同組合(共済事業)に勤務経験あり。
日本司法支援センター(法テラス)の窓口対応専門職員として勤務中。

 
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