生活に必要な金融の知識を伝えたい 財務省関東財務局東京財務事務所 NACS経済市民教育推進グループ 尾川 尚子
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「皆さんの財布に入っているクレジットカードは誰のものですか?」 「クレジットカード会社のもの」と思われたあなたは、多重債務とはたぶん無関係でしょう。でも、「私のもの」と思われた方は、少し要注意です。

私は、関東財務局東京財務事務所で多重債務相談員をしていますが、多重債務になってしまった方の多くがクレジットカードは"借り物"という理解が無く、まるで自分の貯金を下ろす感覚で利用されています。「もし、"借り物"と学校で教えてくれていたら、今とは違っていたと思う、悔しい。」と話されると、私も残念でなりません。

最近は、電子決済の拡大に伴い、クレジットカードは益々欠かせないものになってきています。上手く利用すればこんなに便利なツールはありません。しかし、基礎的な理解が無く利用し始めると、紹介例のような結果を招きかねません。

「学校で、生活に必要な金融の知識を伝えたい。」私の思いが強くなっていた平成18年のこの頃、(公社)日本消費生活アドバイザー・コンサルタント協会(NACS)が「お金についてもっと話そ!」という高校生向けテキストを作成しました。
内容は「ライフイベントの経費」「お金の賢い使い方」「銀行と預金」「クレジットカード」「キャッシングと多重債務」「投資と社会の関係」「保険とリスク」「支えあいの社会保険」「税金と暮らし」「ひとりくらしの経済学」「働き方と進路」の11講座で、初めての「金融」を解りやすく解説しています。

「このテキストを使って高校生向けに授業をやってみないか?」と、私にとって願っても無い誘いがあり、私はすぐに参加を決めました。それがNACS「経済市民教育推進グループ」です。
メンバーの共通点はNACS会員であることと消費者教育活動に対する熱意を持っていることです。それ以外は職種も個性も様々で、会社員、行政の消費生活相談員、電気や製品構造に明るい元技術マン等、多才なメンバーで構成されています。 皆で授業案を考えると、寸劇やロールプレイの台本など生徒を飽きさせない工夫のアイデアがどんどん膨らんでいきました。

例えば、「皆さんの財布にはどんなカードが入っていますか?」と講師。生徒からは「ビデオレンタルのカード!」「スイカ!」「パスモ!」の声。講師が「沢山のカードを持っていますが、クレジットカードは持っていませんね。何故でしょう。クレジットカードは必ず期日にお金を払うという『信用』が無いと持てないからです。」この後、生徒に、お客さん、お店、カード会社それぞれの役になってもらい、寸劇が始まります。

実際にどんな授業が展開されているのか、詳しくは次号、次々号2回に分けて、それぞれ別のメンバーからお話しします。どうぞお楽しみに。

プロフィール 尾川 尚子(おがわ なおこ)

尾川 尚子(おがわ なおこ)
消費生活アドバイザー、消費生活専門相談員、AFP。財務省関東財務局東京財務事務所 多重債務相談員。
平成14年より6年間、(財)日本クレジットカウンセリング協会にアドバイザーカウンセラーとして従事した後、平成20年3月より現職。

 
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