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第1回消費者教育における取組み -知的障害者を例に-東京家政学院大学 非常勤講師 小野由美子[おのゆみこ]

 消費者トラブルの未然防止などに役立ててもらうための講座「おかねの学校」を実施するため、このところ特別支援学校高等部を訪問する機会が続いています。

 知的障害のある生徒も理解力や生活背景は様々で、携帯電話を持っていない人もいれば、連絡用のために小学校から使っている人もいます。おこづかいをもらってゲームやマンガを買うのを楽しみにしている人もいれば、金銭管理は全面的に家族がしている人も少なくありません。

 しかし学校を卒業して給与生活が始まる人もいますし、二十歳を迎えると障害基礎年金を受け取る人が大半で、消費生活においては契約主体としての責任が求められるようになります。家族と暮らしている知的障害者も「親亡き後」の課題として様々な自立の必要性に直面します。

 すでに替え歌やスライドを活用して先駆的な取組みをしている生活や就労の支援員をはじめ、ファイナンシャルプランナーや家庭科の高校教員、そして特別支援学校や大学の教員などで構成される研究会「おたふくけん」では、軽度な知的障害のある人にお金についてもっと気軽に勉強してもらうための取組みをしていて、先述の「おかねの学校」もその一環です。

 知的障害者の消費者トラブルの解決に向けた取組みには社会的な要請も高まっており、東京都消費生活総合センターでも特別支援学校高等部の学生向けWeb 版消費者教育読本「ハカセといっしょに消費者の時間へGO!」が先月公開されました。

 生徒たちが興味をもって学習できる音声付きのアニメーションや、先生方に授業で活用してもらうための指導書が準備され、私も検討会の委員としてたずさわりました。

 キャッチセールスやアポイントメントセールスなどの消費者トラブルにあわないための講座に加えて今後さらに求められるのは、携帯電話や買物といった身近な話題から消費生活を振り返り、主体的に生活を営むためにお金の大切さを学んで生活全体の質の向上に役に立ててもらう家計管理支援プログラムだと研究会では考えています。こうした思いはご家族や支援者、学校の先生方にヒアリングを重ねることで、その切実さを強く感じています。

 私は大学等で社会福祉を専攻していたこともあって、卒業後に消費者関連の仕事が続いてからも、社会的に弱い立場にあるといわれる人々が気になって活動しています。消費者問題や消費者教育、そして社会福祉の間を「行ったり来たり」するうちにみえてきたことをこれからご紹介します。

小野由美子[おの ゆみこ]さん

小野 由美子
[おの ゆみこ]

東京家政学院大学 非常勤講師

日本福祉大学大学院博士後期課程満期退学。横浜国立大学非常勤講師、国民生活センター調査研究員等を経て、2009年9月から消費者庁消費者安全課政策調査員。おたふくけん(多重債務者問題からみた社会福祉のあり方研究会)代表。

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