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第2回 サプリメント入門 
後藤典子(ジャーナリスト、NPO日本サプリメント協会代表理事)
  食生活の乱れやストレスを感じたとき、サプリメントを手にする人は少なくないのでは? 健康のために摂り入れるサプリメントも、間違った摂り方をすれば逆に健康を害する恐れもあります。今回は、サプリメントとは何か、正しいサプリメントの摂り方などをNPO日本サプリメント協会理事の後藤典子さんに教えていただきました。
  近年、健康をテーマにしたテレビ番組や雑誌は急増し、巷には健康に良いというさまざまな商品が氾濫しています。良くも悪くも、私たちが「健康」を意識しなければならない時代になったということでしょう。サプリメントはそうした時代が生み出したひとつの“健康ツール”です。自分の手の内に入れて、上手に活用したいものです。  
  言うまでもなく「健康」というのは、放っておいたら次第に失われてしまうものですから、常に意識し、自分らしく、自律的に作り上げていかなければなりません。これは「セルフ・メディケーション」という考え方につながります。サプリメントは、こうした健康づくりに役立つ手軽な摂取物といえましょう。ただし、口に入れるものですから、十分な理解と情報を得て、適切に摂取するための心構えと努力も必要となります。
  そもそもサプリメントとは?
  「サプリメント」という言葉は、もともとアメリカの「ダイエタリー・サプリメント」からきたものです。これは「日常の食事の栄養を補助する」という意味で、日本語にすれば「栄養補助食品」とか「健康補助食品」となります。
  ただ、日本でのサプリメントの定義はあいまいで、ビタミンやミネラルのような栄養素もあれば、青汁やローヤルゼリーのようないわゆる“健康食品”、海外の伝承療法などで使われてきたハーブ・薬草の類まで、さまざまあります。あるいはヨーグルトやソバ、お茶やジュースなども健康に役立つ食品として、メーカーやユーザーが任意に「サプリメント」と捉えている場合もあります。これらすべてを同じ「サプリメント」と捉えると分かりにくくなりますので、協会では、大きく3つにジャンル分けして「サプリメント・ツリー」という図にしました(図表1参照)
  いずれにせよ明確なことは、サプリメントは医薬品ではなく「食品」であるということです。それが錠剤やカプセルであっても、法律上は大根や人参と同じ仲間なのです。そして食品には、病気の治療や予防などに関わる機能性は明らかでないということから、サプリメントの商品がその機能や効果効能などを表現することを厳しく制限しています。ただ、厚生労働省が設けた「保健機能食品制度」についてのみ、ある程度の機能性を商品に表示してよいことになっています。
  「トクホ」のマークには、どういう意味があるの?
「トクホ」のマーク  「保健機能食品制度」のひとつである「トクホ」。テレビでもよく耳にするようになりましたが、正しくは「特定保健用食品」といい、厚生労働省が個別に商品を審査して、ある健康表示を付けることを許可した食品です。
  たとえば「血糖値が気になる人に」とか「お腹の調子を整える」とか「食後の中性脂肪を抑える」といったような、通常の健康食品やサプリメントには厳しく規制されている「健康への有用性」を表示することができるのです。これには日本人を被験者としたヒト臨床試験を行い、その有効性が科学的に証明されなければなりません。
  ただ、ここで勘違いしやすいのは、トクホ制度は「食品そのもの」に対する許可ではなく、「食品の表示」に関する許可制度だということです。つまりその商品の有用性について国が保証しているわけではないことを理解しておきましょう。
  もうひとつ、「トクホ」を取得するためには非常に多額の費用を必要としますので、中小の企業では、たとえ良い製品を持っていても、トクホにチャレンジすらできないところが多いようです。
  「栄養機能食品」はビタミンとミネラル、17種類だけ
  「保健機能食品制度」には、トクホのほかに「栄養機能食品」があります。これは一日の栄養素の摂取量が国が決めた基準値内にあれば、審査を受けずに製品に付けることができる“肩書き”です。そのアイテムは、ビタミン12種類とミネラル5種類(カルシウム、鉄、銅、亜鉛、マグネシウム)の17種類に限られます。アイテムごとに、パッケージにある一定の効能を示せるので、表示するメーカーは多く見られます。
  サプリメントの3つのカテゴリー
  サプリメント全体を俯瞰して見られるように3つのカテゴリーに分け、それらの特徴を示したのが、「サプリメント・ツリー」です。
  ここでまず大切なのは、木を支えている土壌です。「食事」「睡眠」「運動」「休息」という生活習慣の基本となる4つのポイントが、土壌の栄養素として示されています。つまりサプリメントは、こうした日常の生活習慣をないがしろにして用いられるべきものではない、という重要なメッセージが込められています。
  そのうえで、健康の基本となる体づくりをサポートする栄養素を主体とした「ベース・サプリメント」、体調の調整機能をサポートし、健康の維持・増進に役立つ「ヘルス・サプリメント」、何らかの症状の改善をサポートする「オプショナル・サプリメント」があります。基本的な考え方としては、まず「ベース」で健康の土台をつくり、「ヘルス」で補強し、「オプショナル」で個々のケースに対応する、という優先順位で摂るのが好ましいでしょう。
(図表1)
サプリメントツリー
1.「ベース・サプリメント」は、おもに日常の食事から摂取する栄養素で、ビタミンやミネラル、プロテイン、乳酸菌、食物繊維などです。高齢者を含む健康な普通の大人であれば、単発的に摂るものではなく、毎日摂るべきものだと理解しておきましょう。ただ妊娠期や授乳期、投薬を受けているなど特別な場合には、摂るのを控えるべきものもあるので、主治医やサプリメントの専門教育を受けた栄養士や薬剤師などに相談しましょう。

2.「ヘルス・サプリメント」は、栄養的なバランスの調整とともに、免疫力や抗酸化力などに役立つ素材で、青汁やローヤルゼリー、ビール酵母、卵油、黒酢などです。個人の価値観や体質に応じて、実感できるものを選択しましょう。この分野は、有効成分が特定できないものや、明確なエビデンス(根拠)のないものも見られますが、エビデンスの有無が利用の絶対条件ではなく、観点はむしろ「安全性」です。疑問や不安はできるだけメーカーや専門機関(※1)に問い合わせて、まず安全性をチェックし、あとは個人の利用の目的や必要性、費用の問題などを考慮して判断しましょう。  
※1 専門機関には以下のようなものがあります。
・ 財団法人日本健康・栄養食品協会内「健康補助食品相談室」 03-3268-3295
・ NPO日本サプリメント協会 03-5766-3766
3.「オプショナル・サプリメント」は、イチョウ葉やエキナセア、ブルーベリー、セントジョーンズワート、ノコギリヤシなど、おもにハーブや薬草類など、伝統医療や民間医療として伝えられてきたものがたくさんあります。なかには、海外では医師が治療薬として処方しているものもあります。この分野は、時と場合、体質などによって使い分ける必要のあるものがほとんどです。その原材料をみても、普段の食卓には上らないようなものが多く、たとえ食材であっても、その機能性がある程度限定されていたり、改善を目的にしたものが多いのが特徴です。ですから食事を取る感覚でだれもが不用意に摂っていいものではないと言えましょう。もちろん薬を服用している場合などは、さまざまな相互作用が考えられますので、注意が必要です。
  最後に
  サプリメントを正しく利用するためには、利用者のための中立な情報が必要ですが、実際はメーカーにとって好都合な情報が多く、それらを適切に判断するのは難しいのが現状です。また、体に関わることなので、信頼できる相談先を見つけたり、専門家のアドバイスを受けたほうが良い場合もあります。こうしたことから、サプリメントのアドバイザリースタッフの養成が、各方面で行われています。当協会では「サプリメント指導士養成講座」を設けて、生活者の健康をサポートするための社会活動の一翼として、アドバイザリースタッフの育成を推進しています。今後、アドバイザリースタッフの活躍の機会はますます増えていくでしょう。ただし、勘違いしてはならないのは、それらはあくまでもサポートであって、健康を守る主体は自分自身なのだという「セルフ・メディケーション」の意識を持つことを忘れてはならないでしょう。
後藤典子 <プロフィール>
後藤典子(ごとうのりこ)
ジャーナリスト、NPO日本サプリメント協会代表理事
サプリメント市場における情報の偏りと不透明さに疑問を感じ、2000年9月、ジャーナリストや医師らに呼びかけ“健康情報機関”として「日本サプリメント協会」を発足。2001年6月にNPO(特定非営利活動法人)としての認証を取得する。
多方面の新聞・雑誌、あるいはテレビ・ラジオなどにおいて企画・執筆・意見発表を行うとともに、生活者に向けての講演活動を通して、ヘルス・プロモーションの啓発と情報伝達に努めている。

著書に
「サプリメント健康バイブル」2004年版(小学館)
「サプリメント健康バイブル」(小学館)
「お母さんと赤ちゃんのためのベストサプリメント」(祥伝社)
「サプリメントガイド」ハーブ・機能性食品編(協会発行)
「サプリメントの選び方」(生活情報センター)監修 
  発行/(財)生命保険文化センター