特集-2 家族観の多様化と、 ジェンダー家族
 家族のあり方が大きく変わろうとしている、あるいはもう変わり始めている。人生観、それに関連した仕事観の変化が家族観の急速な転機をうながしているのだ。
 本誌でも「家族」をテーマに多くの特集を組んできたが、そのタイトルを並べてみると「既婚女性にとっての家庭と仕事」「家族のくらしと住まい」「家族だけで支えるから社会と家族で支えるへ」「変わる家族、変わらない家族」「現代・家族の情景」……といった具合だ。
 そうした一連の流れのなかで、いま何が変わり始めたのか。

 近代家族の典型は、夫婦に2人の子ども、といわれていた。だが、高齢化と離婚率の上昇で、そうした4人家族は全世帯の3分の1を割った。逆に増えたのが【表1─日本の世帯数】のグラフを見てわかるように、夫婦だけの世帯と単独世帯である。この2項目を合わせると半数を超す。高齢化も離婚率の高さも特別欧米諸国に較べて突出しているわけではない。要因は、右肩上がりで急増している非婚率の高さだと推察できる。結婚しない、イコール少子化という図式が当然成り立つ。
 日本では、(増えているとはいえ)シングルマザーは少ないし、いわゆる婚姻制度はとても安定しているといえる。そこにまだあるのは、「男は仕事、女は家庭」という性別役割分担意識であり、さらには、職場における男女の賃金格差が男女の役割の固定化に拍車をかけている。結婚観にしても、男性は「家で待つ妻」、女性は「収入が高い夫」という古いイメージの結婚像にまだまだとらわれている人も少なくない。しかしこの不況、男の賃金だけで家族を養える時代ではないのだ。
 もちろん男女共同参画論に通じるジェンダー論(固定的性役割否定論)なるものがあり、職場での平等感は徐々に浸透しつつあるようだが、家庭ではどうだろう。
 【表2─専業主婦世帯と共働き世帯の推移】を見てみると、共働き世帯が専業主婦世帯を上回っている。まさに家庭では、男女が共同参画している時代なのだ。男ひとりで家族を養えない時代だから、夫婦が協力する持ち寄り家計によって家族は成立する。それは、これまでの(今や死語だが)家父長制と違った、男女共同参画論などと一脈通じる、性差を解消した、いわばジェンダー家族。
 この性差を解消するには、それぞれが自らの生き方を模索し、結婚を含めた人生についての選択と決断をする必要がある。もちろん制度に縛られたくないという考え方は昔からあった。また事実婚も、生涯を夫や妻としてだけではなく、パートナーとして過ごす生き方も選択のひとつだといえる。

コラム  
 厚生労働省が年初に公表した人口動態統計の年間推計によると、2003年の離婚件数は13年振りに減少に転じる見通しだという。
 離婚件数は286,000組で、前年より4,000組減るという。「成田離婚」とか「熟年離婚」などと呼ばれ、1991年以降12年連続で増加していたその数字が、微減する見通し。また婚姻件数は晩婚化や未婚化の影響が今年も続き、前年より20,000組少ない737,000組となる見通しだ。
 

表1 日本の世帯数

表2 専業主婦世帯と共働き世帯の推移
 
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