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こんなはずじゃなかった
イースター島の有名なモアイ像の前で
 「石井さんは、100日間の世界一周旅行をしたんですよね? クルージングの旅は、さぞかし楽しかったんでしょうね」
 私のホームページや著作物を見た人たちから、そう言われることが多い。
 だが実際は、世界一周の旅は、ちっとも楽しくなかった。「最悪の思い出のひとつ」と言っても、いいかもしれない。
 「私も世界一周したいです!」と言う人には、「絶対にやめておいたほうがいいよ。つらいだけだから」と、言うことにしているくらいである。
 なぜ、最悪な思い出なのかといえば、気の合う仲間がほとんどできなかったからだ。
 そもそも、旅の目的のひとつは、「商材探し」であった。
 その年の4月1日に、テレビ局のアナウンサーを辞めて以来、いくつかのビジネスを起したりしたものの、失敗の連続だった。
 私は一発逆転をかけて、その国ではゴミ同然でも、日本では宝石のように価値のあるものを、この世界一周の旅の間に必ず見つけようと、心に誓っていたのである。
このクルーザーで世界を一周しました
 もちろん、クルージングの旅で自分を癒したいという気持ちもあったし、650人が乗っている船の上なら、すばらしい出会いがたくさん転がっているだろうとも期待していた。
 しかし、いざ蓋を開けてみれば、100日間のクルージングに参加できるような人たちは、時間をもてあましている学生かフリーター、もしくは、定年を迎えた60歳以上の人たちがほとんどだったのだ。
 同年代の仲間など、ほとんどいなかった。29歳という年齢で来ていたのは、私とパチプロの男性の二人だけだった。まったく生き方の違う相手だから、話が合うはずもない。世代が違う人とのコミュニケーションにも苦しんだ。「貴士もさぁ、ふらふらしてないで、ちゃんとバイトしろよな!」と、20歳のフリーターからお説教をされたこともあった。
 私の中では最重要課題である「ビジネス」というものに興味がある人は、乗船客の中にはほとんどいなかったのだ。世界一周の旅に出かけるような人たちなのだから、旅行に興味がある人ばかりだった。
 結局、話相手が見つからなかった私は、図書室にひとりこもって、速読の練習をしていた。世界一周の旅で一番学んだことは、速読術だったわけだ。一日に数十冊以上を読むこともざらで、ビジネス書を中心に、起業に関する書籍を2000冊ほど読み漁った。大好きな中谷彰宏さんの出されている本(400冊以上)はすべて読破した。
 この世界一周の旅で学んだ速読術のおかげで、いまの自分があるともいえるのだが、こんなはずじゃなかった(笑)。
 結論として、私はこう考えた。
 「どこに行くか、何をするかは、あまり問題ではない。“誰と行くか、誰とするか”が、もっとも重要なのだ」と。
 世界一周旅行に出かけようが、南国のリゾート地に行こうが、好きではない人とだったらつまらない。だが、好きな人や仲の良い友人とだったら、近所のラーメン屋でも楽しいのだ。
 これは、ビジネスにおいても同じである。
  「どんなビジネスをやるのか」も大切だが、同じ目標に向かって励まし合える仲間と一緒にやるほうが、ビジネスは何倍も楽しくなる。
 私は、「何もしないで、月50万円の収入を手に入れる」というプチリタイヤのビジネス・モデルを人に教えているが、「ひとりで“プチリタ”の勉強をします!」という人に限って、長続きしない。つらいときに支えてくれる仲間がいなければ、その人の「成功したい」というモチベーションが持続しないからである。
イースター島にて、現地の子どもたちと。
世界のどこの国でも、子どもたちって、かわいいものですよね。
そんな素敵な出会いもありましたが……
 「何をするか」よりも、まずは「誰とするか」で考えたほうが、人生は何倍も楽しくなる。
 私はいま、気の合う仲間たちとビジネスを楽しんでいる。だから、毎日が楽しくて仕方がない。
 これも、あの、つらかった世界一周旅行のおかげである。
 
Profile
石井貴士
1973年生まれ。プチリタイア・プロデューサー。 1997年から5年間、長野県のテレビ局でアナウンサーを務めるが、「ゼロから億万長者になれば、多くの人を勇気付けられるはず!」と思い立ち、自らが実践。テレビ局を退社し、世界一周旅行に出発、27カ国を旅する。
帰国後、日本メンタルヘルス協会で「心理カウンセラー資格」を取得。 2003年 (有)ココロ・シンデレラを起業。半年で何もしないで、月50万円以上の収入の流れを作り出すことに成功し、プチリタイヤ・プロデューサーとして、多くの人に自由を提供している。
著書
「何もしないで月50万円! 幸せにプチリタイヤする方法」(ゴマブックス)
「世界の成功者が明かす! 30日で億万長者になる方法」(徳間書店)
「カレデキ 〜90日で彼氏ができる!」(PHP研究所)など
発行/(財)生命保険文化センター