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こんなはずじゃなかった
●いつも母の作る料理もお菓子も本当に美味しかったのです!
 
  私の母は料理が大好きな人でした。いつも新しいレシピに挑戦していて、子供の頃はその日の夕食のメニューがとても楽しみだったものです。母の料理好きはお菓子やパンにまで広がっていて、イチゴたっぷりのショートケーキやチョコレートケーキ、焼きたてのクロワッサンの美味しさなどは忘れられません。母のそばをウロウロしているだけでケーキの作り方を覚えてしまった位です。
  実によく食べる家族でしたが、両親、姉妹ともにみな痩せていて、いくら食べても太らない家族でした。20才になって女優の仕事を始めると、まわりの女優さん達がダイエットに心を砕いているのにびっくり。食べたいものを食べたいだけ食べて、まったく太らないという事がどんなに恵まれているか、ひしひしと感じました。そう、高校生の頃から30年以上体重は全く変わらず、食べる事を謳歌してきた私だったのです……去年までは。
●コメンテーターとして出演していた 「とくダネ!」では、月1回の着物姿が恒例に。実はこの頃、頑張って運動もしていたのです。
  21才の時、煙草を吸い始めたのですが、今年のお正月にやっと禁煙出来たのです。ところが禁煙に成功したと喜んだのもつかの間、何と、私は太り始めたのです。最初はまさかと思いました。1キロ位増えてもすぐに戻るはずとタカを括っていました。しかし4ヶ月で5キロも太ってしまったんです。エーッ! 私は太らない体質じゃなかったの?  一生太る事とは無縁の筈だったのに! 友人達はみんな、「今まで痩せすぎだったから、この位で丁度いいんじゃないの」と言ってくれるのです。自分でも、これからは少しふくよかな感じでもいいかなと思ったりするのです。でもそんなのんびりした事、言ってられなくなりました。ショックだったのは、持っている服のほとんどが(それもかなりの数)着られなくなってしまった事です。そりゃ、5キロも太ったら完全にサイズが一つ上がってしまいますよね。すべて新しいサイズのものに買い換えるのは金銭的に大変すぎます。やはり自分の体重をもとに戻すしかありません。

●ダイエットのために愛用してきたダンベルでしたが……。
  よし、運動だ! 手軽に家で出来るダンベルを始めました。腹筋や柔軟体操も込みで1時間ほど、毎日かかさず5ヶ月続けました。ところが体重はまったく変わりません。5ヶ月間のあの努力はなんだったのか。徹底的にやった分、すごく腹も立ちます。と、そこへ息子の声。「最近、すごく筋肉がついたんじゃないの?」エエッと思いつつ自分の体をよく見ると、確かに上腕筋は力強く盛り上がっているし、大胸筋は厚みが出て頼もしいかぎり……って、ちがうー!  体重を減らしたかっただけなのに。次はパワーヨガにでも挑戦しようかしら。近頃はレストランのメニューの表示カロリーに目をやったり、ダイエット食品の広告に見入っている自分に気付いてびっくりです。去年まではそんな自分の姿など想像も出来ませんでした。親も姉妹もいまだに痩せているのに、私だけなぜ……。
 
Profile
萩尾みどり[はぎお・みどり]
女優
1954年 福岡県生まれ。女優。
千葉大学在学中の74年に、TBSテレビ小説「私は??(火偏に華)(あき)」で主演デビュー。その後、映画、テレビドラマ、舞台、ナレーション等に多数出演。また、環境・エネルギー・リサイクル・教育・食生活などをテーマにしたシンポジウムのパネラーや講演活動でも幅広く活躍中。
発行/(財)生命保険文化センター